非情な悪役でインパクトを与えた大ヒットドラマ『ヴィンチェンツォ』から始まり、相手の目を見るとその人の死の瞬間が見える能力を持つ主人公の哀しき宿命を演じた『ザ・ゲーム〜午前0時:愛の鎮魂歌〜』、人間になりたいヴァンパイアを演じた最新作ファンタジーロマンス『ハートビート』まで、幅広いジャンルと役柄に果敢に挑んできた“異端の演技ドル”、テギョン(2PM)。
テギョンが、隠密捜査官に命じられた美食家のお坊っちゃまに扮した史劇捜査ラブコメディ『御史<オサ>とジョイ~朝鮮捜査ショー〜』が、日本でも話題を呼んでいる。独自の視点から作品選びをし、硬軟幅広く興味深いドラマに出続けている彼が、本作に対する自身の思いを語る。
●テギョン(2PM)Profile
1988年12月27日生まれ。13歳のときにアメリカに移住。7年間、ボストンで暮らしたのち、歌手をめざし帰国。2008年、2PMのメンバーとしてデビュー。俳優としても、2010年、ドラマ『シンデレラのお姉さん』で本格スタート。2011年の『ドリームハイ』で主演を演じて以降、主演助演問わず、幅広いジャンル、キャラクターを演じ続け、独自の立ち位置を築いている。主な出演作に、『君を守る恋~Who Are You~』『キスして幽霊〜Bring in on, Ghost〜』『ヴィンツェンツォ』『ブラインド』『ハートビート』など。高麗大学大学院卒のエリートだが、バラエティではおもしろキャラな一面も。
■テギョン(2PM)『御史<オサ>とジョイ~朝鮮捜査ショー〜』インタビュー&見どころ紹介
――この作品でテギョンさんが演じられたラ・イオンとは、どんな人物ですか?
「出世欲が全くありません。どんなことも面倒臭がる、怠け者なんですが、実際は明晰な頭脳を持っています。能力が高いくせに、何もやろうとしないんです(笑)。美食を探し求め、堪能することだけを考えているような人物ですね。そんな男が、思いがけず暗行御史(王直属の隠密捜査官)になり、事件の真相を暴くことになっていきます」
ラ・イオンは、名家のひとり息子として何不自由なく育ち、端正な顔立ちゆえ、パッと見た瞬間は完全無欠に見えるが、できれば家でゴロゴロしていたいのんびり屋さん(笑)。下手に頭が良すぎるため、科挙(官職試験)に軽〜く及第し、望まずしてエリートコースを進んでしまう。そんな肩の力が抜けまくったキャラクターが、“自由人”テギョンにハマっていて、見ていて思わず笑みがこぼれてしまう。
――本作に出演を決めた理由は?
「実は、このドラマの台本を初めて読んだのは、『ヴィンチェンツォ』を撮影している時でした。『ヴィンチェンツォ』を撮っている時は、ダークな役どころだったこともあり、心身ともにに疲れていたんです。そんな時に『御史<オサ>とジョイ』の台本を受け取って、その内容の明るさに癒やされました。僕と似ているラ・イオンを見ていると、ホッとしました。僕との共通点があって、面白く感じたんです。それで出演を決めました」
極限の悪を演じきった『ヴィンチェンツォ』。エネルギーの消耗も凄まじかっただろうことは、想像に難くない。テギョンが本来の自分自身に戻るためにも、大らかで伸び伸びと生きるラ・イオンを演じることは必要不可欠だったのかもしれない。