――演じる上で準備したことはありますか?
「初めての時代劇だったので、とても不安でした。特に気を使ったのが、時代劇の言葉遣いです。当時のことはわかりませんが、時代劇には約束事や、特有の話し方があります。そういったところが、とても神経を使う部分でした。難しい言葉も多かったです。セリフを覚えて練習する時や、撮影中にも時代劇らしい話し方には特に気を配っていましたね」
そうはいうものの、2PMではラップパートを担い、パワフルな歌声でもファンを魅了する。現代劇よりはっきりとした大きな声で発声する必要がある時代劇を演じる上で、すでに土台ができあがっている。そういったこともあり、時代劇初とは思えぬ、堂々たる演技だった。
――ご自身とラ・イオンのシンクロ率はどれくらいですか?
「ほぼ100パーセントに近いと自分でも思います。少しだけ違う部分があるとすれば、出世欲がないという点は、違うような気がします。僕は出世したいですからね(笑)」
――記憶に残っているシーンやセリフは?
「ラ・イオンに対して特に共感を抱いたのは、初めて暗行御史として皆の前で名乗る場面です。そのシーンの中で、ラ・イオンがヒロインのジョイ(キム・ヘユン扮)に、『離縁を許す』と言うセリフがありました。そのセリフが、僕の心に響いてきたんです。ラ・イオンは、自由と本当の幸せをつかもうとするジョイに出会い、“幸福とは自分でつかむものなんだ”と、考え始めるようになった。それを象徴する印象的なシーンでした。このセリフはジョイに対して、未来への自由を与えそれと同時に、自分自身に対して言った言葉にも思えました」
朝鮮王朝時代において、女性から離縁を訴えるのは、世間の目も厳しく、かなり勇気がいること。しかし、望まぬ結婚により苦労し、自分が思うように生きるため「離縁」を選択するジョイの生きざまは、過去の心の傷に囚われ、殻に閉じこもったラ・イオンの心を大きく動かしたのだ。柔軟で、女性や子供を思いやる優しさがあるラ・イオンは、まさにテギョンそのものといえよう。