日本における韓流ブームの原点であり、韓国ドラマ不朽の名作『冬のソナタ』が、BSテレ東で放送スタートし、再び注目を集めている。美しい冬景色を背景に、ヒロイン、ユジン(チェ・ジウ)の前に、10年前に亡くなったはずの忘れられない初恋の人チュンサン(ペ・ヨンジュン)と瓜二つの男ミニョン(ペ・ヨンジュン)が現れたことから始まる、究極の純愛ストーリーだ。

 初恋に交通事故、偶然に次ぐ偶然、運命の再会、記憶喪失に親世代を発端にした因縁、四角関係……と、韓ドラならではの“ドラマチック”がてんこ盛りで、何度も見ているにもかかわらず、1話からときめく、胸を締め付けられてしまう。

 なかでも、当時女性視聴者の大きな論題となったのが、“孤独な転校生チュンサンか、大人な貴公子ミニョンか”問題だ。ぺ・ヨンジュン演じる一人二役キャラクターがいずれも素敵だったということだが、それぞれにどこに惹かれるのか、魅力を解説していきたい。(※以下、一部、ネタバレを含みます)

■ミステリアスな高校生チュンサン、寂しげな姿は少女マンガ的な魅力満載!

 第1話早々、寡黙でどこか陰のある転校生チュンサンの魅力が目を引く。学校の前でタバコを吸ったり、平気で授業をさぼったり、話しかけても無視したりと、危なげでワルな雰囲気だが、大学の授業で数学の問題をすらすら解いてしまうなど(高校生にもかかわらず!)実は半端ない頭脳の持ち主だ。

 機械に強く、放送室の配線ミスをパッと直したかと思えば、学校の高い外塀をひょいと飛び越えるわ、バレーボールでばしばしアタックを決めるわ、頭がよくてスポーツも万能、何でもサラッとこなしてしまう少女マンガのキャラクターがごときカッコよさに釘付けに。

 どんなときもクールで動じないが、ユジンのちょっとした言動にはふっと笑みをこぼす。その微かな笑みもたまらない。加えて、酔っぱらいにからまれていたユジンを見かけ、助け出す展開だ。「礼はいらない。他の人でも助けた」と返すぶっきらぼうさも実にいい。

 冷たくて“問題あり”の転校生かと思いきや、父がおらず、夕食も一人で食べているなど、孤独を抱えて育ったことを知るにつれ、気になって仕方なくなっていく。

 1話のクライマックスは、音楽室でユジンがチュンサンにピアノを教えてやる場面だ。木漏れ日が差し込むその部屋で、ピアノの前に2人で座り、チュンサンが「初めて」という曲を弾いてやる。その美しい光景、美しい音色は、2人の記憶に深く刻まれ、『冬のソナタ』という物語を作っていく。

 2話でユジンがチュンサンに語るセリフに、「学校をサボったのは初めてだった。男子と塀を乗り越えたのも、手を握ったのも、自転車で2人乗りしたのも全部初めて」という言葉があるが、まさに「初めて」をともにした2人の記憶が、3話以降につながっていくのが本作に心揺さぶられるポイントだろう。