――ドンウクさんは、元傭兵の殺し屋という、おっしゃるとおりこれまでにないキャラクターでした。役作りで特に意識したことは?
イ・ドンウク「ジンマンは、常に感情の起伏をあまり表に出さない、非常に冷静沈着な落ち着いたキャラなので、そこを保とうとしました。先程申し上げたように、この作品は過去の回想と現在が行き来しながら描かれていくので、彼の行動や言葉が非常にミステリアスに感じるんですよ。なぜそんな行動を取るのか、なぜああいう事を言っているのかって。後半に行くにつれて理由が明かされていきますが、そのミステリアスさを上手く保とうと心がけました」
――原作小説のジンマンは禿げたおじさんです。本作はジンマンの過去のカッコよくて戦闘力のある姿にフォーカスを当てているので少し異なるかと思いますが、ビジュアル面でなにか気遣ったことはありますか?
イ・ドンウク「まずは、ヘアとメイクをほとんど気にしないようにしました。それと、この作品の直前に『九尾狐伝1938』という作品を撮っていたのですが、その時よりも体重を5、6kg増量しました。体も少し大きく見えるように努力しましたね。原作小説のように禿げるわけにはいかないですから(笑)。そのくらいの線でキャラクターを作りました」
――キム・ヘジュンさんが演じたジンマンの姪ジアンは、幼い頃に壮絶な体験をしています。肝の据わったジアンを演じるにあたり、役作りで意識したことはありますか?
キム・ヘジュン「役作りもそうなんですが、今回アクションスクールに通いながら、体でジアンというキャラクターに入るという面が大きかったんです。物理的な面ですごく思い入れが芽生えたキャラクターなんじゃないかなと思います。それに、今回私の出番が非常に多かったので、人間キム・ヘジュンでいるよりジアンとして過ごした時間が長かったんです。その分、やっぱり愛着が湧いてきたんじゃないかと思います。
また、叔父が、ジアンを平凡に育てようとずいぶん努めましたので、彼女が自分に迫って来る危機的な状況に対して、素直にリアクションしようとしたところがあります。そこを重点的に役作りで心がけました」
イ・ドンウク:(緊張した様子で話すキム・ヘジュンをじーっと見つめて聞いていたのち)彼女、ちょっと韓国語が得手でなく……申し訳ございません(笑)」
(2人で爆笑。イ・ドンウクがキム・ヘジュンの背中を撫でてやる姿が微笑ましい)
――ヘジュンさんは、外見的な役作りで意識したことはありますか?
キム・ヘジュン「ジアンは運動をしている設定なので、髪を短くショートとミディアムの間くらいに軽くしてみました。衣装は、基本的に家で楽に着られるトレーニングウェアでしたが、監督と話して、“どこか強く見えるキラー”として視聴者に映るよう、上下、緑と赤が入っているトレーニング服を選択しました」
イ・ドンウク「カメルーンのサッカー代表チームのような色を選択したんですね」
キム・ヘジュン「よくわかりません(笑)」
――ジンマンとジアンの“普通じゃない関係”は、本作の面白さであり、興味をそそられる部分です。ドンウクさん自身、甥御さんとのユニークな関係をよくお話されていますが、叔父役をするのに、甥御さんとのやり取りで参考になった部分はありますか?
イ・ドンウク「甥っ子は小学生になってしまったので、僕とはもう喧嘩しないんですよ。甥っ子が5歳くらいの時は、それはもう熾烈な戦いを繰り広げていました(笑)。そんな喧嘩の記憶が、お互い負けないぞ!という記憶をベースにして、へジュンさんと演技をしました」
――ドンウクさん流の、甥っ子や姪っ子とうまくやる秘訣は?
イ・ドンウク「甥っ子でも甥っ子でも“無関心になること”です。僕は、実際、自分の甥っ子に大して関心がないんですよ。彼の育児と教育は彼の両親の役目なので、僕が出る幕ではありません。僕は時々会って挨拶くらいする、叔父とはそんな存在でいるがベストなのではないかと思います」
(インタビュー後編に続く)
●プロフィール
イ・ドンウク/1981年11月6日生まれ。1999年、モデルとして芸能界に入りし、同年、単幕ドラマ『ベスト劇場 道の道の外にも世界はある』で俳優デビュー。『学校2&3』で注目を浴び、2005年の大ヒットラブコメディ『マイガール』で一躍人気スターに。主な主演作に『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(2016−17年)、『真心が届く〜僕とスターのオフィス・ラブ!?〜』(2019年)、『他人は地獄だ』(2019年)、『九尾狐伝〜不滅の愛〜』(2020年)、『バッド・アンド・クレイジー』(2021年)、『九尾狐伝1938』(2023年)、映画『ハッピーニューイヤー』(2021年)など。
キム・ヘジュン/1995年5月8日生まれ。2015年に、ウェブドラマ『ブームは百合』でデビュー。2016年には大ヒットドラマ『浪漫ドクター キム・サブ』にキム・サブの亡き弟子役で強い印象を残し、『ただ愛する仲』(2017−18年)ではジュノ(2PM)演じる主人公の妹役に抜擢。2019年のNetflixオリジナルドラマ『キングダム』シリーズでは王妃を演じ、注目を集めた。さらに2022年には三池崇史監督によるディズニープラスオリジナルドラマ『コネクト』に出演。注目の若手女優として躍進中。その他の出演作に『調査官ク・ギョンイ』(2021年)、『ミリオネア邸宅殺人事件』(2020年)など。
●『殺し屋たちの店』ストーリー
大学に入学したばかりのチョン・ジアン(キム・ヘジュン)のもとに、警察から叔父ジンマンが自殺したという知らせが入る。唯一の肉親で保護者だったジンマンは謎めいた存在ではあったが、自殺を図るような人ではない。どこか納得いかないまま葬儀を終えたのち、叔父の携帯に高額の振込の連絡が……。
不審に思ったジアンは、幼なじみのジョンミン(パク・チビン)の力を借りて調べるなか、叔父が遺した怪しい店の存在を知る。その矢先、「次はお前だ、ジアン」というメッセージが届くとともに、謎の殺し屋たちからの襲撃が始まり……。
一人残されたジアンは、生き残ることができるのか? 叔父の正体は果たして?
●配信情報
『殺し屋たちの店』ディズニープラス スターにて独占配信中
毎週水曜2話ずつ配信
[2024年/全8話]演出:イ・グォン『ドアロック』 脚本:チ・ホジン『時間が止まるその時』、イ・グォン『ドアロック』
出演:イ・ドンウク、キム・ヘジュン、ソ・ヒョヌ、チョ・ハンソン、パク・チビン
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