Netflixで配信中の『涙の女王』が視聴ランキング上位をキープし、大ヒット中だ。

愛の不時着』の脚本家ならではの、しゃれた笑いのセンス、クセの強い(だけど愛すべき)キャラクターの魅力、笑えるだけではない、切ない展開の予感が散りばめられており、目が離せない。

■『涙の女王』キム・スヒョンの魅力とは?観る者を惹きつける美しく翳りある瞳

『涙の女王』で特筆すべきは、何よりキム・スヒョン演じる主人公ペク・ヒョヌの魅力だろう。

 セレブで冷酷な妻ホン・ヘイン(キム・ジウォン)に振り回され、尻に敷かれている感は否めないが、実は文武両道なんでもできてしまう有能な男で、ふとした瞬間に才を発揮し、妻を守るなど、ギャップがたまらない。

 脚本家とは、『ドリームハイ』『星から来たあなた』『プロデューサー』に続き、なんと4度目のタッグ。それだけ気に入られているということでもあり、本作でも彼の魅力が存分に引き出される脚本になっている。

Netflixシリーズ『涙の女王』独占配信中

 では、キム・スヒョンの魅力とはなにか。

  キム・スヒョンは、“目”の俳優だ。よくいう“目ヂカラ”のような、力んだ、人を圧するものではない。

 どこか寂しくて、どこか悲しくて、どこか優しくて、きれいで、その奥に映る彼の心を覗いてみたくなるのだ。

 思えば、デビュー当時から、その目は、彼の抗えない魅力として強い印象を残してきた。主人公の少年時代を演じた『クリスマスに雪は降るの?』でさえ、憂いを湛えたその目は一瞬にして視聴者を惹き込み、序盤のみの出演だったにもかかわらず、「あの子、誰?」と騒がれたほどだ。

“陰り”だけではない。キラキラと澄んだ瞳の輝きで音楽の才を持つ純朴高校生を魅せた『ドリームハイ』から、初恋の痛みを抱えた王のカリスマ性と一途な愛の両面を眼差しに映し出した『太陽を抱く月』、ミステリアスな異星人の無感情な目が妙にセクシーな『星から来たあなた』まで、常に“目”で観る者の心を射抜いてきたキム・スヒョン。

 作品ごとにまるで違ったキャラクターの人生が、瞳の奥に浮かび、想像力を掻き立てるのだ。