そこまでキム・ジウォンに対するイメージの転換を促した場面とは、ヘインがペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)と知り合ったばかりのときに傘を借りた後のシーンだった。想定外の雨が降って困っていたヘインに、財閥家の令嬢と知らずに傘を貸してヒョヌは得意げに帰っていった。ヘインは迎えの車が来るのをただ待っていただけなのに……。
車に乗り込んで車窓から外を見ていたら、横を走るバスの後部座席にヒョヌの姿があった。ヘインに傘を貸して余韻に浸っているヒョヌと、その姿をバスの隣を走る車の窓からときめくように見ているヘイン……。何度も繰り返し見たいような珠玉の場面だった。
特に、ヘインからは表情の棘(とげ)がすっかり消えて、究極のラブロマンスに引き込まれていく純粋性を感じた。その瞬間を演じたキム・ジウォンの透明感もまさに七変化の象徴になっていた。
それは一瞬の追憶であり、ドラマのメインストーリーに戻れば、ヘインは病を抱えながらクイーンズグループの将来を案じているのだった。
そこで第10話が終わったが、ヘインの逆襲が今後の展開の鍵を握ることになるだろう。再びキム・ジウォンの演技に抒情性が戻る流れが、ドラマの最後には果たして来るだろうか。
●配信情報
Netflixシリーズ『涙の女王』独占配信中
[2024/全16話]演出:チャン・ヨンウ『不可殺』『抱きしめたい~ロマンスが必要3』、キム・ヒウォン『ヴィンチェンツォ』『シスターズ』 脚本:パク・ジウン『愛の不時着』『星から来たあなた』
出演: キム・スヒョン『星から来たあなた』『サイコだけど大丈夫』、キム・ジウォン『私の解放日誌』『太陽の末裔 Love Under The Sun』、パク・ソンフン『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』『サイコパスダイアリー』、クァク・ドンヨン『雲が描いた月明り』『ヴィンチェンツォ』