5月8日にディズニープラスで全話の配信を完了した『支配種』は、近未来を舞台にした人工培養肉を巡るサスペンスドラマである。
チュ・ジフン&ハン・ヒョジュの夢の競演に加えて、脚本が「秘密の森~深い闇の向こうに~」の脚本家イ・スヨンということでも話題を集めた。(以下、一部ネタバレを含みます)
■チュ・ジフン&ハン・ヒョジュ『支配種』見どころは?目が離せないストーリー、脇役イ・ヒジュンにも注目!
世界中で研究が激化しているという人工培養肉。一方で、ドラマの中でも描かれていくが、第一産業の崩壊を招いたり、本当に環境に優しいのかという疑念があったりと、さまざまな問題が指摘されている。
最近話題になった『寄生獣 -ザ・グレイ-』や『三体』などにも通じる、人類の歴史を変え得る興味深いテーマを提示する本作。世界を牛耳ろうとする巨大テクノロジー企業の恐ろしい企てと見ることもできるが、新しい世界を受け入れられない人類の悲劇とも見ることができて、物語が進むほど目が離せなくなる。
“肉”が人工的に作れるということは、ほかに何が作れるのか。本作は、人工培養肉の先に踏み込んでいるところが目を引く。「人類は不完全な支配種」と劇中でBF社のCEOユン・ジャユは言い放つが、最後まで見ると、“支配種”という言葉にもダブルミーイングがあるような気もして、さすがイ・スヨン作家と感じた。
本作は俳優陣もとにかく贅沢だ。古くからの韓ドラファンなら、チュ・ジフンとハン・ヒョジュの初共演というところにまずは興奮したはず。
かつてチュ・ジフンは、『春のワルツ』のオーディションに受かり、この作品で俳優デビューする予定だった。だが、紆余曲折の末、『宮~Love in Palace』のシン君役でデビューすることとなり、『春のワルツ』はメインキャスト候補が一新され、ヒロインには新人女優のハン・ヒョジュに白羽の矢が立った。
つまり『支配種』は、2人のおよそ20年越しの共演であるわけで、そう考えるとさらに興奮する。
ハン・ヒョジュは、ドラマ『ムービング』や映画『毒戦 BELIEVER 2』に続き、BF社の頭脳明晰なCEOユン・ジャユというチャレンジングな役を熱演。最近、映画での活躍が目立つチュ・ジフンは、落ち着いた演技でジャユの謎めいたボディガード、ウ・チェウンを好演している。そういうドラマではないが、何か始まりそうな2人の雰囲気がソワソワさせる。
『マエストラ』のイ・ムセン、『最愛の敵〜王たる宿命〜』のパク・チヨン、『ムービング』のチョン・ソクホなどなど、脇を固める俳優陣も脇役好きにはたまらないラインナップの本作だが、なかでも迫真の演技を見せているのが、総理のソン・ウジェ役を務めるイ・ヒジュンである。