そんな高興半島の南西端から1キロほど離れた場所に、小鹿島(ソロクト)という島がある。現在は本島と橋で連結されている。

 幼い鹿の形に似ていることから名づけられたという愛らしい島名とは裏腹に、この島には日本統治時代にハンセン病患者を隔離する場所だったという哀しい歴史がある。

 1916年に朝鮮総督府令第7号により「小鹿島慈恵医院」が設立され、患者たちはそこに強制収容された。感染を憂慮して、患者の子供たちは生まれた瞬間から職員地帯で生活し、病舎地帯に住む親たちとはひと月に一回だけ、愁嘆場と呼ばれる境界線上の道で面会することを許されていたという。

 同医院はその後何回か改名され、現在は「国立小鹿島病院」として、ハンセン病患者の診療や療養、自立支援、ハンセン病に関する研究業務を管掌する国家機関として運営されている。敷地内には当時、ハンセン病患者の検屍や監禁を目的とした2棟の建物が残されており、見学するのもはばかれるほど胸が痛かった。

日本統治時代にハンセン病患者を拘束、監禁する目的で使用された建物

 1960年代にハンセン病患者とその子供たちのために献身的に奉仕活動を行い、病気に対する偏見の解消に貢献した2名のオーストリア人女性がいる。2人を讃える功績碑に思わず手を合わせた。

ハンセン病患者とその子供たちに献身的に奉仕活動を行った2名のオーストリア人女性を讃える功績碑

●高興へのアクセス

ソウル高速バスターミナルから高興公用バスターミナルまで約4時間15分