まず、キム・ジウクというキャラクターの描かれ方がいい。序盤こそ、長髪で黒縁メガネ姿のやや野暮ったい姿をしているが(それにも理由がある!)、結婚式用のスーツを試着したときから一変! キム・ヨンデが演じるからこそ可能な、まごうことなきイケメンぶりが強調されていく。

 驚いたヘヨンが思わず見惚れてしまうなど、完璧ビジュアルを容赦なく見せつけるキラキラ演出も秀逸で、爆笑の連続。さらに、ジウクの壊れた姿も見られるコミカルなシーンも満載だ。

 一方で、ジウクの信条は、誰かのためになること、自分のせいで損を与えないこと。明朗にみえて、実はいろいろな事情を抱えるヘヨンのための振る舞いも気が利いてる。

 プロポーズ動画が必要といわれれば、彼女が好きだった製造中止のお菓子を片っ端から在庫をかき集めて店内にディズプレイするセンス。実は、コンビニでアルバイトしていたとき、常連客であるヘヨンの好きなおにぎりをいつも店にあるように発注管理をしていたという優しさも。と、徐々に明かされていくエピソードの1つひとつにジウクの人柄がつまっている。

 ヘヨンの考えを理解し、記憶し、彼女の希望を最優先に動く“忠犬”ぶり、ここぞというときの本気キス、心動かすセリフの数々……。若さを武器にやみくもに愛をぶつけるわけでもなく、バリキャリでもどこかほっとけない年上ヒロインの保護者になるわけでもなく、控えめだけと、意思をはっきりともった行動をとるジウクのまっすぐさ、回を重ねるごとにジウクの魅力から逃れられなくなっていく。

 ここにきて、互いの愛情に正直になったジウクとヘインの、フルタイム“偽”結婚生活の行方とは? 最後まで目が離せない!

●配信情報&作品データ

Amazon Original『損するのは嫌だから』Prime Videoで独占配信中(毎週月・火更新)

[2024年/全12話(予定)]演出:キム・ジョンシク『力の強い女 カン・ナムスン』『酒飲みな都会の女たち』シーズン1 脚本:キム・ヘヨン『彼女の私生活

出演:シン・ミナ『私たちのブルース』『海街チャチャチャ』、キム・ヨンデ『昼に昇る月』『流れ星』『ペントハウス』シリーズ、イ・サンイマイ・デーモン』『ブラッドハウンド』『海街チャチャチャ』、ハン・ジヒョンチアアップ』『ペントハウス』シリーズ、イ・ユジン『三姉弟が勇敢に~恋するオトナたち~』『ブラームスは好きですか?』『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』

写真:Prime Video