●『奴が嘲笑う』(2015年)
巨悪に翻弄される弁護士(イ・ソンギュン)が、頭脳と行動力で反撃していく痛快サスペンス。キム・ゴウンの役はなんと検事。それまで演じてきた奔放な女子高校生や田舎の露天商とは対極に位置するキャラクターで、正直、この役は荷が重そうに見えた。しかし、イ・ソンギュン扮する先輩弁護士へのほのかな恋心を感じさせるたたずまいは、彼女らしい繊細な表現力が光っていた。
●『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』(2018年)
主人公ハクス(パク・ジョンミン)は故郷のしがらみから逃れたくて、西海に面した田舎町から上京したが、ある理由で帰郷する。そして、故郷でさまざまな黒歴史と向き合うことになる。そのひとつがキム・ゴウン扮するソンミが絡む気まずい初恋の記憶だ。
ソンミはハクスとの再会に胸をときめかす幼なじみ。本来の持ち味である「足りなさ」「憂い」が存分に発揮されている。物語の後半ではソンミがただの田舎娘ではなかったことが明らかになる。力の抜けたたたずまいの中に芯の強さを感じさせる演技もキム・ゴウンならでは。エンドロールではダンスも披露している。