「お勧めの時代劇がありますか」と誰かに尋ねられたら、迷うことなく『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』というタイトル名を答えることだろう。それは、今後もずっと変わらないと思える。そう確信できるほど、このドラマは「とてつもない傑作」なのである。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『オク氏夫人伝』は韓国時代劇の歴史に残る一大叙事詩!
『オク氏夫人伝』は、第1話から完全に没入できるほど、序盤の展開がすばらしかった。
イム・ジヨンが演じる奴婢(ぬひ)のクドク。主人一家から恐ろしい虐待を受け、逃亡した後に盗賊に襲われる悲劇を経て、両班(ヤンバン)の令嬢オク・テヨンとして生まれ変わった。
自分の能力を一番発揮できたのが外知部(ウェジブ/裁判や訴訟の弁護人)の仕事だった。その才能によって、村の人の多くを救った。
夫はソン・ユンギョム(チュ・ヨンウ)。彼に逆賊の罪をかぶせて善良な義父まで死に至らしめたイ・チュンイル(キム・ドンギュン)は究極の仇だった。この男が大罪に問われたとき、オク・テヨンは彼を弁護して減刑を勝ち取る。
この場面に魅了された。本来なら徹底的に復讐すべきシーンでも、あえて常套手段を使わず、見る者が想像もしなかった展開に誘い込んでくれる。二重に練られている物語性に心から感動した。
オク・テヨンは弁護人として「法のとおりに平等に弁護する務めを果たした」と語った。この言葉の意味は本当に深かった。
ソン・ユンギョムは行方不明のままだったが、彼に瓜二つのソン・ソイン(チョン・スンフィという芸人に姿を変えていた)が、自分を捨ててソン・ユンギョムになりかわった。
彼は猛勉強し、科挙で首席合格を果たした。彼の弟のソン・ドギョム(キム・ジェウォン)もすでに首席で科挙に合格していたので、経歴上は兄弟で快挙を成し遂げていた。
オク・テヨン、ソン・ユンギョム、ソン・ドギョム……3人は村の発展に尽くし、飢餓の恐怖から救った。
こうして幸せな日々が続いたのだが、暗転する出来事が起こった。