シーズン1に引き続き監督を務めたファン・ドンヒョク監督は、メイキング映像の中でこう述べている。
「シーズン2はゲームの続行か中断かで参加者たちが自発的に分裂し、対立が深まります。今、韓国のみならず世界のあちこちで分裂や対立、憎悪の激化が浮き彫りになっています。宗教や理念、出自、性別、人種によるものです。そういったことを象徴的に表現したかったのです」
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(2019年)はフランスの第72回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドール受賞、アメリカの第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した。
劇中でとりわけ注目された“B級グルメ”がある。それは高級牛肉がインスタント麺の上に乗った「チャパグリ」だ。これこそ、牛肉=上層階級、インスタント麺=下層階級といった社会構造のメタファーだった。
「〇」と「×」に分裂したイカゲームの参加者集団がどのように憎しみ合い対立していくのか。そして対立させるように仕向けているのは誰なのか。
ゲームを主宰するフロントマンであることを隠してゲームに参加し、ギフンを監視するイノ(イ・ビョンホン)。そのイノの正体を知らないまま自身の信念をぶつけるギフン。
イノの立場は「身勝手で物欲にまみれているのが人間の本性だ」、ギフンの立場は「人は身勝手ではない道をいくらでも選べる」。
ギフンの怒りは正当かもしれないが、彼の行動によって多くの参加者が犠牲となった。視聴者は疑問を抱くだろう。ギフンの戦いに正義はあるのか、生きるとはどういうことなのか。
しかし、このドラマは単純な答えを出してはくれない。6月27日に配信されるシーズン3ではギフンとイノの対決の行方にはらむ倫理的な問いかけをベースに、より混沌とした世界が描かれていくだろう。
格差拡大と困窮という世界の現実はイカゲームと同じく「生」と「死」の極限状態にある。登場人物それぞれの物語はドラマのために創造されたものではなく、私たちのすぐ隣にいる人々が実際に経験している今の現実であるということを、「イカゲーム」は教えてくれるのである。
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●配信情報
Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン2独占配信中
[2024年/全7話]監督・脚本:ファン・ドンヒョク『イカゲーム』『トガニ 幼き瞳の告発』
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、イム・シワン、カン・ハヌル、ウィ・ハジュン、パク・ギュヨン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、ヤン・ドングン、チェ・スンヒョン(T.O.P)