4月30日から5月9日にかけて、韓国の南西部に位置する全北特別自治道(全羅北道)・全州(チョンジュ)市で行われた全州国際映画祭。上映作品は専門知識を持つ3人のプログラマーが選考しているが、2021年からは、毎年、映画監督や俳優のなかから「今年のプログラマー」を任命。独自の視点で選んだ作品を「Jスペシャル 今年のプログラマー」セクションで上映している。
今年、プログラマーを務めたのは、わずか15歳のときに撮影した映画『つぼみ』(1996年)で鮮烈なデビューを果たして以来、30年近くのキャリアを持つ俳優イ・ジョンヒョン。古くからの韓流ファンであれば、イ・ビョンホン主演のドラマ『美しき日々』(2001年)の出演者として、また、2004年に紅白歌合戦に出演した歌手として覚えているかもしれない。
■全州国際映画祭でイ・ジョンヒョンが「今年のプログラマー」として『復讐者に憐みを』『誰も知らない』など、独自の視点で選定&上演!トークショーも大盛況
中央大学映画学科で演出を専攻し、『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018年)のユン・ジョンビン監督と同期だったというイ・ジョンヒョンは、現在、同大学の大学院に在学中。
今回の全州国際映画祭では、監督作品の短編『花見に行く』も上映された。実際に起きた事件をモチーフにしたという同作は、重い病を患う母と、経済的に苦しいなか、制度の狭間で福祉サービスも利用できずに苦労する娘が主人公の社会派ヒューマンドラマ。娘役を自ら演じ、監督としても手堅い実力を感じさせた。
そのほかには、自身の出演作である『つぼみ』、『誠実な国のアリス』(2015年)、短編『波乱万丈』(2011年)、大好きな作品だという是枝裕和監督の『誰も知らない』(2004年)、パク・チャヌク監督の『復讐者に憐みを』(2002年)、ダルデンヌ兄弟が手掛けた『ある子供』(2005年)を選定。それぞれの上映後には、会場に集まった観客とのトークも行われた。
