10歳にして武功をあげ、生涯を国の拡大に注いだ第3代・大武神王(テムシンワン)。神の名をもつ王を「呪われた子」として描いたコミックを映像化。当時『朱蒙〔チュモン〕』で絶大な人気を得たソン・イルグクが、再び高句麗(コグリョ)の王、しかもチュモンの孫を演じることでも話題となった。

■“呪われた王子”の数奇な運命をソン・イルグクが好演、『風の国』は『朱蒙』の続きのような味わいも!

●『風の国』あらすじ

 西暦4年。いまだ王権が確立しない高句麗2代・ユリ王(チョン・ジニョン)に王子が誕生する。だが、「兄弟を殺し、父と母を殺し、実の子まで殺す、高句麗を滅ぼす子」との神託を受けた大神官は、ユリ王に赤子を殺すように求める。

 その直後から、国中で不穏な出来事が起きるようになり、ユリ王は決断を下す。そして、ムヒュル(無恤)と名付けられた赤子は、ヘミョン太子(イ・ジョンウォン)により、キリン洞窟の壁画長ヘアプ(オ・ユナ)に託された。

 洞窟の中で壁画工として育ったムヒュル(ソン・イルグク)が、外の世界を望むようになった頃。ユリ王は外交に力を注いでいたが、テソ王(ハン・ジニ)率いる扶余(プヨ)に脅かされ、国内では相変わらず諸加(チェガ)会議がユリ王を牽制していた。

 そんな中、ムヒュルは、国や民を思い尽力するヘミョン太子に憧れ、忠誠を誓って兵士となる。ところがある事件の責任を取って太子が自害。息子を守らなかったユリ王に憎悪を抱いたムヒュルは、扶余の暗殺部隊「黒影(フギョン)」の一員に。そこで、同じく黒影のドジン(パク・コニョン)と奇妙な友情を深めていく一方、命を助けてくれた扶余王族のヨン姫(チェ・ジョンウォン)と心を通わせるようになる。そして、ユリ王の暗殺のため、高句麗に潜入するムヒュルだが……。

■ムヒュルと彼をとりまく人々の成長と絆、そして敵国の姫との愛

●『風の国』みどころ

 “武神”の名をもつ王を“災いの子”“呪われた王子”として描くエンタメ時代劇。復讐が先か、真実を知るのが先か、目まぐるしく状況がかわるムヒュルにハラハラしつつ、その冒険マンガ的ヒーロー誕生劇に心躍らせる作品だ。

 また、『朱蒙〔チュモン〕』を楽しんでいる人であれば、高句麗とテソ率いる扶余との攻防は、『朱蒙』の続きを見ているような面白さもある。前作よりも若々しさと凛々しさ増し増しのソン・イルグクも見事だ。

 さらに興味深いのは、この2つの国の王家の対比だ。高句麗王室は、生まれた子の命を守ろうとするユリ、真実を明かさずにムヒュルを見守るヘミョン太子はもちろん、セリュ王女(イム・ジョンウン)や、異母弟のヨジン王子(キム・ヘソン)、真実を知ったムヒュルまでが、家族と国のために一致団結していく。