そう熱望していたチェ・ジヨン氏は、「今後のドラマの世界がどう変わっていくか」を見据えていたのだろうか。

「何よりも、ドラマがどう見られていくか、を考えなければなりません。実際、さまざまなメディアが生じています。以前は、映画ならスクリーン、テレビドラマなら小さなブラウン管と決められていましたが、今は大型画面もあれば移動しながら見られるメディアもあります。これからは、どんな形でドラマを見るか、ということは無意味になると思います」

 2010年頃ならまだ、人々が電車の中でスマホを通してドラマを見るということは想像できなかった。そんな時期にチェ・ジヨン氏は、「どこでもドラマを見られる」という近未来を予測していたのである。

かつて韓国の空港や港の待合室にはテレビが設置されており大勢の人が取り囲んでいた(撮影は2007年)