ディズニープラス スターで配信されている『私たちの映画』。ナムグン・ミンとチョン・ヨビンの主演作で、それぞれ映画監督と主演女優に扮している。このドラマは、新作映画の企画から撮影までの制作全般の流れを細かく描写してくれる。（以下、一部ネタバレを含みます）

■ナムグン・ミン＆チョン・ヨビン主演『私たちの映画』見どころは？

　映画監督のイ・ジェハ（ナムグン・ミン）は、デビュー作『清掃』で非常に高い評価を獲得していた。しかし、その後の5年間は新しい映画を作れなかった。完全にスランプ状態に陥っていたのだ。彼の父親は韓国映画界で巨匠と称されたイ・ドゥヨンである。その父親は、『清掃』が公開されるときに亡くなっていたが、息子のジェハは女優との不倫で母親を精神的に苦しめたドゥヨンに反感を持っていた。

　それなのに、映画監督としてのジェハは、父親が1990年代に監督した映画『白い愛』をリメイクすることになった。この作品のヒロインは余命宣告を受けている。そういう女性の心理状態を把握したいと考えたジェハは、助言者を求めていて、医者から推薦されたのがイ・ダウム（チョン・ヨビン）だった。

　ダウムも余命が少ない病人なのだが、なんと、『白い愛』のオーディションを受けに来た。彼女は女優の卵であり、オーディションでは卓越した演技力を見せていた。

　ジェハとしては、ダウムが健康であれば抜擢したいところだが、病状を考えたら絶対に無理だった。そう決めつけていたが、ダウムの熱意がジェハの気持ちを動かした。こうして2人は監督と主演女優の立場になった。

　しかし、乗り越えなければならない問題が山積していた。不意に発作が起きるダウムの体調、無名の新人女優を起用することに関するプロデューサーと投資者への説得、主役級女優を脇役として使わざるを得ないキャスティング、娘を心配する父親（大学の医学部教授）の反対……などが立ちふさがっていて、映画制作は撮影前から多事多難だった。

　それでも、ジェハは絶対にダウムを主役に起用したいという熱意を持っていたし、ダウムは死を前に生きていた証を見つけたいという信念があった。そうした切実な動機が周囲の人々を動かしていく過程をドラマは丹念に描いていく。