Netflix話題作『未知のソウル』は、性格がまったくちがう双子のミジとミレ(パク・ボヨンの一人二役)が、あることをきっかけに互いに入れ替わって生きるという話だ。

 その設定のおもしろさもさることながら、物語の舞台や撮影地選びのセンスがよかった。多くの場面で普段着のソウルとその周辺の風景が観られるので、散歩に出かけたくなる。(以下、一部ネタバレを含みます)

■ソウルの魅力が詰まった『未知のソウル』冒頭のイントロ画面

『未知のソウル』冒頭のオープニング映像には、ソウルのさまざまな風景が登場する。イラスト化された窓外の右側の風景は、南山のNソウルタワーのほうから龍山区東子洞の「フォーポイントバイシェラトン」などが入っている高層ビル群越しにソウル駅を捉えたものだ。背後の山は北漢山だろう。

 ソウル駅の斜めのパイプが通っているように見える部分は、コンコースとKTXホームをつなぐ通路。コン・ユ主演映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』の冒頭、感染者(シム・ウンギョン)はこのホームから発車間際の列車に飛び乗った。

ソウル駅のコンコースからKTXのホームを見下ろす

 高校時代、陸上選手として活躍したミジの表彰状をカメラが捉えたあとに映るガードの上を走っているのは、漢江を渡る漢江鉄橋(ハンガンチョルギョ)のたもとを通る地下鉄1号線だ。朴正煕政権下の1974年、日本の技術協力によって開通したので左側通行(2号線以降は右側通行)である。

 その少しあとに映るビルに挟まれたゴシック建築風の建物は南大門長老派教会だ。教会の向こうの建物はソウル五輪を控えた1983年の創業で、2022末に営業を終了したヒルトンホテル。日韓合作映画『純愛譜-じゅんあいふ-』には、当時28歳のイ・ジョンジェ(『イカゲーム』)扮する青年が、このホテルの一室で二日酔いに苦しむシーンがあった。

 手前左のビルはこの辺りでは古株のメトロタワー。1970年竣工で今の高架遊歩道「ソウル路7017」の脇にそびえ立っている。

ソウル路7017のソウル駅方向から見たメトロタワーの夜景(中央奥)

 そのしばらくあと、イラストで描かれたミジとホス(ジニョンGOT7)らしきカップルの背景は、漢江鉄橋と63ビルの夕景と夜景だ。

堂山鉄橋方向から見た汝矣島の国会議事堂と63ビル(左端)