韓国ドラマや韓国映画、K-POPに続き、韓国ミュージカルが熱い視線を集めている。アメリカ演劇界で最も権威のあるアワード、第78回トニー賞にて、韓国発のミュージカル『メイビー、ハッピーエンディング』が最多6部門で受賞する快挙も記憶に新しい。

 ドラマチックなストーリーと美しい旋律、圧倒的な歌唱力にダイナミックなパフォーマンス……。人気アーティストや実力派の俳優が日々舞台に立ち、韓国の劇場は熱気で満ち溢れている。

 そんななか、歌姫オク・ジュヒョンが魂を揺さぶる『エリザベート』を皮切りに、いまやミュージカル界のトップスターとして君臨するキム・ジュンス主演の『モーツァルト!』韓国10周年記念公演まで、珠玉の韓国ミュージカル5作品が日本のスクリーンに登場する。「韓国ミュージカル ON SCREEN」だ。

■「韓国ミュージカル ON SCREEN」第1弾は圧倒的声量で魂を揺さぶる歌姫オク・ジュヒョンが必見の『エリザベート』

「韓国ミュージカル ON SCREEN」は『エリザベート』『ファントム』『マリー・アントワネット』『笑う男』『モーツァルト!』という⽇本でも高い⼈気を誇るグランドミュージカル5作品をラインナップ。第1弾となる『エリザベート』(2022年公演版・2024年韓国劇場公開作品、162分)は7⽉11⽇から24日まで全国各地の映画館にて2週間限定で上映される(※上映期間は延長される場合やスケジュールが変更となる場合も)。

『エリザベート』はミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(作曲・編曲) により1992年、ウィーンで初演。「ブロードウェイとは異なる作風のミュージカル」を目指した本作は大成功を収め、今も世界各地で上演され続けているミュージカルの記念碑的な作品だ。日本でも1996年に宝塚歌劇版、2000年に東宝版の公演が行われており、韓国でも2012年の初演以来、爆発的な人気を得て繰り返し上演されている。

 100年前にオーストリア皇妃エリザベートを暗殺したルイジ・ルキーニの審判が煉獄の裁判所で行われている。暗殺の動機を問われたルキーニが「彼女が望んだことだ!彼女は“死”と愛し合っていた」と答えると、舞台は19世紀半ばへと遡る。自由を愛した美貌の皇妃エリザベートと彼女を見つめるアナーキストの語り部“死”(トート)、夫のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ。ハプスブルク帝国の終焉に向かって時代は大きく動き始めていた……。

エリザベート役のオク・ジュヒョンとトート役のイ・ヘジュンが魅せる圧巻のハイライトシーン (C) EMK Musical Company, All Rights Reserved

 エリザベート役のオク・ジュヒョン、トート役のイ・ヘジュン、ルキーニ役のイ・ジフン、フランツ・ヨーゼフ役のギル・ビョンミンが響かせる圧倒的な声量に観客は打ちのめされ大スクリーンへと吸い込まれていく。エリザベートを演じるオク・ジュヒョンが幼い頃と大人になったときの違いを見事に歌い分けている点がとりわけ絶賛されている。

 実際の舞台を撮影しながらもカメラは登場人物の動きに合わせて巧みにアップ、ロングと変化させるため最後まで飽きることがない。ステージの全体像、キャストや豪華セットのアップ、きらびやかな衣装……。どれもじっくり観察できて最後まで魅了される。

 韓国ミュージカルに興味があり、推しキャストが舞台で輝く姿を大画面で堪能したいファン、日本上演版との違いを確認し作品を深掘りしたい方には特にお薦めだ。