アパートの住民代表に扮したのはヨム・ヘラン(1976年生まれ)。百想芸術大賞の女性助演賞を受賞したドラマ『おつかれさま』や『マスクガール』の苦労人役、ラ・ミラン主演映画『市民捜査官ドッキ』『ガールコップス』のアクの強いアジュマ役などを見慣れているせいか、本作の住民代表役もかなりのクセモノなのにもかかわらず、プレーンに見えてしまうのがおもしろい。

 ヨム・ヘランは映画デビュー作の『殺人の追憶』以降、実年齢より上の役を演じることが多いのだが、本作は49歳という年齢相応の役だった。

 17階に住む高齢男性に扮したのは、ベテラン俳優イ・ジョング(1950年生まれ)。本作では体の自由がきかない老人役だが、少ない言葉やアクションに秘めた凄みを感じさせる演技は健在だ。最近では『破墓/パミョ』の僧侶役が印象に残っているが、彼の真骨頂はキム・ユンソク主演映画『チェイサー』で見ることができる。サイコパスな殺人犯(ハ・ジョンウ)に対し、本人が認めたくない心理的背景を容赦なく指摘して追い詰めてゆくシーンはこの映画の白眉だった。

 また、主人公ウソンのオモニに扮したのは、『イカゲーム』シーズン2&3で007番ヨンシク(ヤン・ドングン)の母を演じたカン・エシム。ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話の夫婦間でもめる妻、映画『コンクリート・ユートピア』のヨンタク(イ・ビョンホン)の母、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』のジヨン(チョン・ユミ)の祖母など、問題のある伴侶や子供を抱える女性役には定評がある。

Netflix映画『84㎡』独占配信中

●配信情報

Netflix映画『84㎡』独占配信中

[2025年/118分]監督・脚本:キム・テジュン

出演:カン・ハヌル、ヨム・ヘラン、ソ・ヒョヌ、チョン・ジノ、キム・ヒョンジョン、パク・ソンイル、カン・エシム、イ・ジョング、ユン・ジョンイル、チョ・ハンジュン