Netflixドラマ『隠し味にはロマンス』でカン・ハヌル扮するボムが、ヨンジュ(コ・ミンシ)とのラブロマンスを成就できず、母親が君臨する会社にも復帰できなかったとしたら、この映画の主人公ウソン(カン・ハヌル)のようになっていたのでは? Netflix映画『84㎡』(84m2/84平方メートル)はそんな物語だ。(以下、一部ネタバレを含む)
■カン・ハヌル主演作『84㎡』で描かれる仮想通貨のスリルとアパート騒音問題
無理してソウルの高層アパート14階の部屋を買った主人公ウソン。昼夜ダブルで働き、投資価値のなくなったアパートのローンを払い続ける暮らしに嫌気がさし、仮想通貨にすべてを賭け人生の一発逆転を狙う。
しかし、アパートの層間騒音(チュンガンソウム=集合住宅の上下階の騒音)に悩まされたのをきっかけに、ウソンは深刻なトラブルに巻き込まれてゆく……。


本作は、韓国や日本で地道に働き続けている者にとっては多かれ少なかれ身につまされる話だ。身につまされるどころか、追い詰められてゆくウソンに我が身を重ね、手に汗握り、背中にびっしょり汗をかく人も多そうである。
『ミセン-未生-』『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち』『椿の花咲く頃』『イカゲーム』シーズン2&3など、安定した演技力でこれまで数々のヒット作に出演してきたカン・ハヌル。本作でも、もがき苦しむ演技は見ものである。
■ソ・ヒョヌ、ヨム・ヘラン、イ・ジョング、カン・エシム……主人公の隣人や母親役も名優揃い!
小市民ウソンを演じるカン・ハヌルもハマリ役だが、彼を取り巻く人々、とくに騒音トラブルにからむアパート住民に扮したバイプレイヤーたちも名優揃いだ。
15階に住む怪しげな男に扮したのはソ・ヒョヌ(1983年生まれ)。イ・ジュンギ主演作『悪の花』の雑誌記者役をはじめ、『エージェントなお仕事』では芸能マネージャー、『殺し屋たちの店』のスナイパー、『熱血司祭』シーズン2では釜山の検事、最近では『私たちの映画』のプロデューサーなど幅広い役を演じている。
じつは、ソ・ヒョヌが主人公が住むアパートの隣人を演じるのはこれが初めてではない。コン・スンヨン(TWICEジョンヨンの実姉)主演映画『おひとりさま族』では、人とのかかわりを断捨離して生きる主人公とは好対照の話好きで世話好きな人間臭い人物を演じていた。
