Netflixで配信スタートした『エスクワイア : 弁護士を夢見る弁護士たち』は、冒頭からカン・ヒョミン(チョン・チェヨン)が、いかにだらしない人間であるかが描かれる。新人弁護士としてユルリム法律事務所の採用試験を受けにきたのに、遅刻してしまい、服装も乱れている。そんな彼女の失敗を厳しく糾弾したのがユン・ソクフン(イ・ジヌク)である。時間厳守を信条とする彼にとって、ヒョミンは絶対に許すことができない弁護士なのだ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix新作『エスクワイア : 弁護士を夢見る弁護士たち』見どころは?
確かに、採用試験の面接に遅れるというのは論外だ。しかし、ヒョミンにも言い分がある。地下鉄の中で他人が残していった本に夢中になってしまい、駅を乗り過ごしてしまった。この「ありえない行動」の中にヒョミンの真骨頂が現れている。一度没頭すると集中力が半端ないのだ。
それほどの集中力と素早い読解力でヒョミンは司法試験に合格した。しかも、弁論も巧みだ。それでもソクフンは原則を曲げない男で、ヒョミンの遅刻を厳しく咎めて不合格にした。結局は彼女の才能がユルリム法律事務所幹部に評価されて合格となったのだが……。
新人弁護士たちを集めたミーティングで、ソクフンは自分が担当する訴訟チームの特徴を述べた。仕事が厳しすぎて誰も行きたくないのだが、ヒョミンだけは自ら志願して訴訟チームに入った。
ソクフンは常にヒョミンを否定的に捉えている。しかし、一緒に仕事をしてみるとヒョミンの恐るべき能力に気が付いていく。特に、誰もが見過ごすところに目をつけ、徹底的に調査する。その没入力が素晴らしい。
例えば、ガス会社の売上を調査する中でガス使用量が減っている温浴施設を突き止めて、ガスメーターの不正を見抜く。誰も気づかない視点をしっかり持っているところが、弁護士としての将来性を感じさせる。かくして、最悪の出会いを経た主人公の男女が、仕事を通してお互いの優れている面を悟るようになる。

