“国民のおばあさん”の名で愛されるナ・ムニ、最近では公式YouTubeチャンネルを開設し、MONSTA Xとの交流が話題となったキム・ヨンオク、SHINeeミンホらと『ゴドーを待ちながらを待ちながら』の舞台に立つパク・クニョン。ドラマに映画に舞台、さらにはバラエティ番組など、縦横無尽な活躍を続けるベテラン俳優たちが親友同士を演じ、故郷の村で過ごす穏やかな時間を映し出した映画『最後のピクニック』が、9月12日より日本でも劇場公開される。
高齢者をとりまく様々な困難や家族たちの事情を織り込みながら綴られる静かなストーリーには、韓国でも多くの人たちが共感を寄せた。俳優たちの見事な演技を引き出しながら本作を完成させたキム・ヨンギュン監督に話を聞いた。(インタビュー記事全2回のうち後編)
■「私は、ナ・ムニさんたち達人の演技を、最初の観客として見物するという特別な経験をしました」
――今回『最後のピクニック』を拝見して、監督のデビュー作『ワニ&ジュナ〜揺れる想い〜』(2001年)を思い出しました。キム・ヒソン、チュ・ジンモというキラキラしたトップスターが、平凡なカップルをとても自然に演じていたのが印象的な作品でした。
「ありがとうございます。今でもそうですが、キム・ヒソンさんは当時もスターとして大きな脚光を浴びていた俳優です。そんな彼女を街のどこにでもいるような平凡な女性として表現しようとすごく努力した記憶があります。今思えば恥ずかしいことですが、私よりも何歳か年下だったので、『こうやって演じてみてほしい』と、自分でやってみたりもしました。私も若かったですね」
――『最後のピクニック』では、ご自身が演じてみせるようなことはなかったのですね。
「ベテラン俳優のナ・ムニさん、キム・ヨンオクさん、パク・クニョンさんの前で『こうやって演技してください』と言うことにどんな意味があるでしょう(笑)。そんなことは考えたこともありません。
ただ、監督として俳優さんたちとどうやってコミュニケーションを取るべきかについては、お会いする前にかなり悩みました。しかし、それも、愚かなことでした。この方たちは、武道でいえばかなりの高段者にあたるわけで、監督が『こうしてほしい』という希望に合わせてそれを作り出すような人たちではなかったんです」
