『七日の王妃』には、大妃(テビ)として登場する貞顕(チョンヒョン)王后(晋城大君の実母)がたびたび印象的に描かれているが、彼女には「息子を国王にしたい」という野心は特になかった。なにしろ、暴君として知られる燕山君が、怒りの矛先を弟に向けて残酷に追い詰めるのではないか、という恐れが常に胸を占めていた。

 そんな緊張の中、『七日の王妃』では慎氏をめぐって、燕山君と晋城大君の間に愛と嫉妬の葛藤が渦巻く。

 燕山君は単なる狂気の国王ではなく、理性と激情を併せ持つ複雑な人物として描かれており、演じたイ・ドンゴンの冷ややかで精悍な表情が、その人間的苦悩を見事に体現していた。彼が扮した燕山君は、従来の「暴君」のイメージを覆すほどの深みを備えていたと言える。

 今回の『暴君のシェフ』を通して注目を集めるようになった燕山君……この国王の悲劇と執着をより多面的に知りたいなら、『七日の王妃』は必見である。

●作品情報

『七日の王妃』

[2017年/全20話]演出:イ・ジョンソプ、ソン・ジウォン 脚本:チェ・ジニョン

出演:パク・ミニョン、ヨン・ウジン、イ・ドンゴン、 チャンソン2PM