超話題作のNetflix暴君のシェフ』でイ・チェミンが演じた国王のイ・ホンは、10代王・燕山君(ヨンサングン)がモデルになっていた。しかし、ドラマではこの国王の妻と子供が描かれていなかった。史実では、燕山君には妻の慎(シン)氏と2男1女がいた。しかし、1506年に燕山君が廃位になったあと、妻は廃妃となり、長男の世子も廃されてしまった。

■『暴君のシェフ』でイ・チェミンが扮した国王のモデル、燕山君が登場する『七日の王妃

 全話を見終えても、余韻がずっと残るNetflix『暴君のシェフ』。韓国時代劇が好きな人であれば、王のモデルである燕山君のことをもっと知りたくなっても不思議はない。

 そのときに最適なドラマなのが、パク・ミニョン(『キム秘書はいったい、なぜ?』『私の夫と結婚して』)が主演した『七日の王妃』(2017年)である。

 このドラマでは、燕山君(イ・ドンゴン)の異母弟である晋城(チンソン)大君(ヨン・ウジン)が物語の序盤で結婚を迎える。相手は、燕山君の側近・慎守勤(シン・スグン)の娘だった。後に端敬(タンギョン)王后(パク・ミニョン)となる女性だ。 

 当時、慎守勤は政治の頂点に立つほどの強大な権力を持っていた。彼の妹が燕山君の妻だったからだ。そのため、慎守勤の娘が今度は燕山君の異母弟・晋城大君の妻になるという事実は、宮廷に大きな波紋を呼んだ。王族との結びつきがあまりに濃くなりすぎており、権勢の偏りを恐れた官僚たちがこぞって反対の声を上げたのも無理はなかった。

 しかし、燕山君は意外にもこの結婚を容認した。むしろ、当初は積極的に賛同したほどであった。

 もともと晋城大君は燕山君より12歳も年下であり、兄の燕山君はかつて歳の離れた弟をことのほか可愛がっていた。

 けれど、王座に就いてからは、燕山君の心の奥底に「弟が自分の地位を脅かすのではないか」という猜疑が芽生え始めた。兄弟の情愛はやがて警戒へと変わり、燕山君は次第に晋城大君に冷たくあたるようになっていく。