人気を集めるNetflix配信作『テプン商事』は、ジュノ(2PM)が演じるカン・テプン社長が1997年に起こった経済危機の中で苦闘する様子が描かれている。
この経済危機は、韓国がIMF(国際通貨基金)から緊急支援を受けたので「IMF危機」とも呼ばれた。この事態は、その後どのような展開になったのだろうか。
■Netflix『テプン商事』2PMジュノ演じるテプン社長は、深刻な経済危機を乗り越えられるのか?
1997年12月、韓国はIMF危機の真っ最中にあった。同じ時期に大統領選挙に当選したのが金大中(キム・デジュン)だ。彼は大統領に就任すると、経済危機を乗り切るために「第二の建国」というスローガンを掲げた。IMFに緊急融資を受けた屈辱を「朝鮮戦争以来の国難」と位置づけたのだ。
「金を拠出して国家に貢献しよう」
そういうキャンペーンが盛んになり、呼応する人たちは金のトロフィーから金歯までも差し出すようになった。当時の世相は、『テプン商事』の劇中でもエピソードとして象徴的に描かれている。
非常事態体制の中で、次々に大胆な経済改革が実行された。金融行政を担う金融監督委員会は、乱脈経営で不良債権ばかり増やしていた銀行を容赦しなかった。整理すべき対象として悪質な銀行を公表し、即座に営業停止処分にしてしまった。
結局、金大中政権が発足したときに銀行は33行もあったのだが、その後は半分近くが整理・破綻・合併によって姿を消していった。
金大中政権が金融改革と同時に行ったのが、産業界の構造改革である。特に、採算性の見通しもなく拡大路線を突き進んだ財閥が標的だった。グループ内で相互に債務を保証しあうような経営体質が大問題となり、各財閥は財務内容を改善して負債額を徹底的に圧縮することが求められた。
さらに、政府は強制的に整理すべき企業の実名を公表した。その合計は55社。韓国を代表する大手財閥のグループ企業ばかりだった。
そのうえで、政府の意向を受けた銀行は取引企業の財務状態の審査を強化し、見通しのない企業に対して整理対象を申し渡した。
各企業はやむなく人員の大幅な合理化を実施した。かつて韓国の企業では「年功序列」と「終身雇用」が当たり前だったが、そのシステムも崩壊した。結果的に、街に失業者があふれるようになった。