ビジュアル要素が満載のキスシーンを派手に彩るために、象徴的な物語が次々に用意されている……そんな印象を強く残すのが、チャン・ギヨンとアン・ウンジンが主演のNetflix配信作『ダイナマイト・キス』である。序盤から面白い仕掛けがどんどん繰り出されてくる。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix『ダイナマイト・キス』主演のアン・ウンジン&チャン・ギヨンの相性に大注目!
現代的なドラマの特徴になっているのが「テンポの良さ」。視聴者を飽きさせないエピソードを重層的に繰り出すのが、人気ドラマの必須条件になっている。
それにしても、『ダイナマイト・キス』のテンポの良さは格別だ。次から次へと「ありえないようなシチュエーション」が登場するのだが、それを魅惑的な名場面につなげているのが、主役コンビの抜群のケミストリーだ。
リードするのは、アン・ウンジンが演じるコ・ダリムの飛び抜けたキャラ。最初の彼女は不運な女性だった。地方の三流大学を出て就職ができず、採用試験でいつも軽んじられてしまった。仕方なく公務員試験の勉強をしている最中に、妹の偽りの結婚のために済州島(チェジュド)に追いやられてしまう。
しかも、妹の夫は巨額の借金を抱えていて、結婚式そのものがトラブルの元凶となった。ショックを受けた母親は心筋梗塞で入院し、緊急の手術を受けた。ここでも高額な手術代がダリムにのしかかってくる。
何としても、お金が必要だ。切羽詰まったダリムは子供がいる女性を装って、育児用品会社の面接を受けた。無理だと思ったら、なんと、奇跡的に就職することができた。そこは最高の職場環境だったのに、妹のせいでヤミ金融の男たちに追われる立場となった。
最悪な境遇……ヒロインをここまで苦しめるのか、とドラマを見ていてつい思ってしまう。しかし、心では笑っている。痛快で仕方がない。そう思わせてくれるのが、アン・ウンジンの「極端な七変化」ぶりだった。
本当に、表情がクルクル変わる。辛い時、楽しい時、悲しい時、嬉しい時……人間には様々な感情の起伏があるが、その変化を自然体で使い分けられるのがアン・ウンジンの巧みな個性だ。
そんなアン・ウンジンが演じるコ・ダリム。彼女の潜在能力をうまく引き出しているのが、チャン・ギヨンが扮するコン・ジヒョクだ。