『愛の不時着』で注目の若手俳優の仲間入りをし、近年は時代劇でも活躍。最新作『この川に月が流れる(原題)』では、わけありの王族を繊細に演じ、評価を高めている韓国俳優イ・シニョン。彼が旅人となり、日本の各地で地元の人々と交流し、ソウルフードに舌鼓を打つ。そんな体験と出会いの紀行ドキュメンタリー番組『イ・シニョンが行く!おいしいニッポン』が、ディスカバリーチャンネルで放送される。
はじめてのバラエティ分野への進出、それも日本の番組という、挑戦尽しの旅番組。28歳の今だからできる旅の面白さに気づいたという、イ・シニョンへのインタビュー後編をお伝えする。(インタビュー全2回のうち後編)
■この番組にキャッチコピーをつけるなら、「28歳の青春」です。25歳でもなく、いまの僕だから楽しめる旅の醍醐味がここにあります
――番組ディレクターさんが、イ・シニョンさんのことを「かわいい人」だとおっしゃっていました。シニョンさんが考えるご自身の魅力とは?
「今、いちばんに頭に浮かんだことを言ってもいいですか?“日本でもバレちゃったか”です(笑)。役柄とは違って、天真爛漫なんですよ、僕。というのは冗談ですが、実は、今回、オファーを受けるにあたって、素顔のイ・シニョンを見せたいと思いました。もし、それを感じてくださる方がいたら、番組のいちばんの成功は視聴率だと思いますが、それ以上に僕のチャレンジが成功したと感じられる気がします」
――それはもう成功してるといっていいのではないでしょうか。とても素敵に旅のお話しをしてくださって、すっかり虜ですよ
「それならよかった!」
――お話しを聞いてると、イ・シニョンさんの感性が日本にマッチしていると感じました。ご自身ではどうですか?
「そうだといいなと思います。番組中に旅先で人にインタビューする機会がありますよね。自由に話しかけて聞いてくださいと、ディレクターさんにいわれて、試したんですが、日本のみなさん、すごく恥ずかしがるじゃないですか。だから、合ってると思っているのは僕だけなのかも……と少し不安になったりもしました。でも、そうやって遠慮がちな姿も、とてもかわいらしいですよね」
――もともとの性格は内向的だとうかがっていたんですが、インタビューする側にまわって日本の人と交流するというのは、とてもチャレンジングなことですよね。大変だったのでは?
「そうですね。もともとは本当に人見知りですが、親しい仲間が相手だとしゃべることも多いんですよ。でもやっぱり、僕自身が変わってきたんだと思います。僕は今、28歳になったんですけど、最初は年齢を重ねたとしても、変わることなんてないだろうって思っていました。でも、自分自身に変化をつけたいと思うようになって。それでやってみると、変わるんですね。さすがにここまで変わるなんて思ってもみませんでしたが、やっていくうちにすごく楽になることもあって。
先ほども少し話しましたが、実際、僕が、気持ちを楽にして気軽に話しかけると、みなさんももっと気楽に接してくださるんです。それが嬉しくてありがたくて、意識的に続けるようにしたんですよ。だから、今は、コミュニケーションはそれほど不得手ではなくなっています。
以前は周囲にどう思われるかばかりを気にして、自分ではない誰かの姿になろうとしていたのかもしれません。でも、韓国には『犬が吠えるたびに足を止めていたら、前に進めない(犬は吠えるがキャラバンは進む)』という言葉があるんですが、周囲を気にしていたら前に進めないって思うようになったんです。それが、仕事であれ自分自身であれ。だから、自分らしく生きようという思いが強くなったんだと思います」