嬉しくて涙が出てきた。『ダイナマイト・キス』の最後の場面を見てから、しみじみ感じた……これこそ韓国ドラマを貫いているラブコメの王道だ、と。見終わった後にこんなに気分が良くなるのだから、やっぱり『ダイナマイト・キス』は喜びに満ちあふれた作品だ。(以下、ネタバレを含みます)

■王道ラブコメ『ダイナマイト・キス』は見どころ満載!終盤の注目は「どこで記憶を取り戻すのか」

 衝撃的なキスに始まり、感動的なキスで終わる。

 まさに、タイトル通りのドラマだった。

 済州島(チェジュド)で知り合ったコン・ジヒョク(チャン・ギヨン)とコ・ダリム(アン・ウンジン)。

 偶然の出会いであったが、ソウルで同じ職場、育児用品会社ナチュラル・ベベで働くようになってから、御曹司のチーム長ジヒョクがダリムの明るさに影響されてどんどん変わっていった。その変貌ぶりが本当にスリリングであった。

 チャン・ギヨンも当初は気難しいキャラを重く演じていたが、途中から肩の力がどんどん抜けて、後半は底抜けの笑顔を見せるようになった。彼の新しい一面を見た気がした。

 一方のアン・ウンジンは、天性の明るさを持った稀有な女優である。魅惑的な笑顔を見せるときの彼女は特別に輝いていた。

 ナムグン・ミンと共演した傑作時代劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』では、厳しい戦乱の中でどんどん性格が変わっていくという重々しいヒロインを演じていたが、この『ダイナマイト・キス』では、もう「ラブコメの女王」と呼びたくなるほど笑顔で突き抜けていた。

 さらに、主役コンビを囲む共演陣も充実していた。

 サイドストーリーとして、ダリムの長年の友人でシングルファザーの写真家キム・ソヌ(キム・ムジュン)と、財閥令嬢ユ・ハヨン(ウ・ダビ)のラブロマンスが並行して描かれ、2人の関係の先行きも本当に気になった。ソヌの息子とハヨンの交流も丁寧に描かれていた。

 また、ジヒョクの母親(ナム・ギエ)とダリムの母親(チャ・ミギョン)の絆も温かくて、ホロリとさせられる名場面に結びついていた。

 さらに、職場でダリムと一緒に働いた3人の同僚(パク・ジア、チョン・スヨン、パク・ジョンヨン)も、すごくいい味を出していた。ジヒョクの忠実な補佐役カン・ギョンミョン(シン・ジュヒョプ)も癒し系キャラとして、存在感を発揮していた。

 反対に、悪役はどういう役回りだったのか。ジヒョクの異母姉コン・ジヘ(チョン・ガヒ)がドラマを大いに引っ掻き回したが、ギスギスした悪役ではなく、どこかペーソスがあった。そのおかげで、ドロドロしたドラマにはならなかった。