通常、時代劇において史実に基づかないストーリーだとリアリティの欠如を招きがちだが、Netflix配信ドラマ『シュルプ』はまるで違った。綿密な考証が行き届いていて、虚構の世界ではなくリアルな歴史空間であると納得させてくれる。この架空の宮廷絵巻は、逆説的に言えば、史実以上に生々しく登場人物たちが迫ってくるのだ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■2人の名優が対峙するシーンの緊迫感が凄まじい!傑作時代劇『シュルプ』

 時代劇『シュルプ』の中で圧倒的な存在感を持っているのが、ファリョン王妃を演じたキム・ヘスである。彼女の演技は自然すぎて、演じていることを感じさせない。たとえば、眉の動き一つにも真実味がある。

 さらに、次々に発せられる言葉の響きが、国母としての威厳に満ちていた。実際、キム・ヘスが成りきっているファリョン王妃……彼女が王位継承権を持つ5人の息子たちのために奔走する姿は、母の慈愛に貫かれていて感動的だ。

 しかし、ファリョン王妃の行く手を露骨に阻むのが、キム・ヘスクが扮する大妃(テビ)である。この2人の対決こそが、ドラマ全体を貫く背骨になっている。2人の名優が対峙するシーンにおける緊迫感が凄まじい。言葉が鋭利な刃物のように飛び交い、無言の睨み合いは空間を切り裂くほどの迫力を持っている。

 なぜ、大妃はこれほど王妃を憎んで排除しようとするのか。その根源は、彼女自身のダークな過去にある。かつて一介の側室に過ぎなかった彼女は、謀略を駆使して正室である王妃を廃し、我が子を王位に就けることに成功している。

 その達成感が大妃を巨大に見せている。国王の母となった今も、その権力欲はまったく衰えない。狡猾な知略を武器に、彼女はファリョン王妃の失脚を虎視眈々と狙い続ける。その姿は、あまりにも恐ろしい。

Netflixシリーズ『シュルプ』独占配信中