ドラマ全20話を128分の映画に再編集した『映画 冬のソナタ 日本特別版』。チュンサン(ペ・ヨンジュン)とユジンチェ・ジウ)の家族や友人たちの場面を大幅に削除した構成によって、2人のラブロマンスが集中的に特化されていた。中でも、忘れられない初恋に固執するユジンの姿が最後までクローズアップされた。

■『冬のソナタ』のユジンというキャラは、女優チェ・ジウにとって生涯最高の分身

 チェ・ジウ本人が「学生時代のユジンの姿こそ、ありのままの自分に最も近い」と語っていた。彼女の本来の性格は、底抜けに明るい。喜怒哀楽を素直に表に出すタイプなのだ。

 しかし、俳優としてキャリアを重ねるにつれ、彼女が演じるキャラは内向的なものが多くなっていく。自らの幸せを後回しにして涙を流し続ける悲劇のヒロインばかり。いつしか彼女には「涙の女王」という代名詞が定着した。

 そんなチェ・ジウにぜひ新しいイメージを加えたいとユン・ソクホ監督は考えた。抜群のプロポーションを誇る彼女を、ただ悲嘆に暮れる役回りに押し込めておくのはあまりにも惜しい。

 実際、太陽のように輝く陽気なキャラこそが彼女にふさわしい。そう確信したユン・ソクホ監督は、『冬のソナタ』のユジン役にチェ・ジウを抜擢した。 

 こうしてユジンを演じることになったチェ・ジウ。一抹の不安もよぎった。物語序盤のユジンは、周囲を巻き込むほどの天真爛漫なおてんば娘である。当時、明るい役柄からすっかり遠ざかっていたチェ・ジウにとって、高いテンションに自分を持っていくことは容易ではない。少なからず気恥ずかしさがともなったのだ。

 それでも、天性の鋭い勘を持ち合わせるチェ・ジウは、見事に壁を乗り越えた。特に、現場の空気感に身を委ねる柔軟さがよく生きていた。監督の巧みな演出によって自然体な魅力を引き出された彼女は、極めて自由な感覚でカメラの前に立つことができた。

『映画 冬のソナタ 日本特別版』(C)2025. KBS. All rights reserved

 さらにチェ・ジウは、時の流れを計算して役作りに挑んでいた。深い哀しみを背負う大人のユジンへと変貌したときの落差を最大限に際立たせるためだ。あえて高校時代の姿を、少し大げさなほどの底抜けの明るさで演じ切った。

 高校生のユジンと10年後のユジン。その対比が見事だった。