今もっとも注目を集めている韓国ドラマ『21世紀の大君夫人』。現代の韓国に王室があったらという設定のもと、物語の主軸となるのは、国内有数の巨大財閥の令嬢ソン・ヒジュと、高貴な王室の血を受け継ぐイ・アン大君である。IUとビョン・ウソクが演じるこの2人が、打算に満ちた契約結婚へと突き進んでいく波乱の道のりが描かれていく。(以下、一部ネタバレを含みます)
■注目作『21世紀の大君夫人』IUが演じる財閥令嬢の唯我独尊ぶりがまさに痛快
序盤から『21世紀の大君夫人』は、極上のロマンチック・コメディと呼ぶにふさわしいスタートになっている。
ヒロインのヒジュは美しい容姿と卓越した頭脳を併せ持っている。しかし、彼女の背負う運命は決して平坦ではない。「婚外子」として生を受けたという事実が、彼女の人生に暗い影を落としている。
そのような複雑な背景を持つヒジュという女性を、IUは圧倒的な表現力で体現している。自尊心が人一倍高く、どんな逆境に立たされても固い信念を決して曲げようとしない。そんな芯の強いキャラクターを演じさせれば、IUの右に出る女優はいないのではないか、と思えるほどだ。
実のところ、彼女が持つ俳優としての力量は計り知れない。その卓越した演技力は、2025年の話題作『おつかれさま』で見せてくれた通りだ。
IUは『おつかれさま』で、母「エスン」と娘「クムミョン」という2つの異なる人格を1人で演じ切った。作中に登場するこの2人は、単なる血の繋がった親子という単純な関係性ではない。それぞれが呼吸をしている時代背景が根本から異なっていた。当然ながら、物事の捉え方や人生における価値観が極端に違った。
激動と混乱の時代を力強く生き抜いた逞しい母のエスン。複雑化した現代社会の中で新たな悩みを抱えながらもがく娘のクムミョン。こうした2人の女性を巧みに演じ分けたことは特筆に値する。特に感心したのは、母と娘が生きる時代特有の空気感を肌で感じ取り、登場人物たちの心の奥底で渦巻く複雑な感情の機微を完全に表現したことだ。
IUの役作りは緻密で計算し尽くされている。発する声の高低や響き、表情の動き、日常的な歩き方の癖……そのすべてに変化を見せていた。
そうした演技力は、『21世紀の大君夫人』でも序盤から大いに発揮されている。