地下鉄の新吉駅は不思議な構造になっていた。地下鉄1号線と5号線の両方に新吉駅がある。1号線の新吉駅でおり、地図を頼りに長い通路を歩いていくと5号線の新吉駅に出た。ここで改札を出、周囲を眺めると案内図があった。そこに橋の案内があった。その方向に進み、短い階段をのぼった。
「ここ、ここ……」
つい言葉が出てしまった。セッカン文化橋だった。記憶を頼りに、ソン・ジュンギ演じる主人公が立っていた場所の見当をつけていく。ドラマでは背後にはビルの灯が映っていた。
この橋は斜張橋という構造で、塔から斜めに張ったケーブルが橋を吊っているような形になっている。その位置関係から、「ここらだろうか……」などと風景を見渡してみる。しだいに『ヴィンチェンツォ』のドラマの世界に入り込んでいく。
ロケ地巡りは、その場に辿り着くと、その風景を目にしただけで満足してしまうようなところがある。しかし公園ロケ地は、そこで主人公になったようなちょっとした遊びができる。それがいい。
橋の上で手すりに体を預けて眼下を眺める。そこには小さな川た池が点在する自然公園が広がっていた。それは汝矣島漢江公園のもうひとつの顔だった。