ヒューマンドラマの名作『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』『私の解放日誌』の脚本を手掛けたパク・ヘヨンの新作『誰だって無価値な自分と闘っている』がNetflixで配信中だ。ク・ギョファンコ・ユンジョンが主演して、自分の価値を周囲に認めさせようとする人々の葛藤をリアルに描いている。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix配信『誰だって無価値な自分と闘っている』作品のテーマは?

 このドラマの主人公は、20年間も映画監督としてデビューすることを夢見ながら、なんら成果を発揮できないファン・ドンマン(ク・ギョファン)である。彼は周囲の冷笑に反発するように、常に傍若無人な悪態をついている。

 最初は見ていて辛い場面も多い。そんなシーンが延々と続く序盤は、完全に「波風を立てるドラマ」になっている。ドンマンの救いようがない言動が前面に出れば出るほど、波風は激しさを増していく。

 本作は、韓国ではJTBCの土日ドラマとして放送されている。JTBCの公式サイトを詳しく読むと、なぜ今の時代にあえて「波風を立てるドラマ」を制作しているかが少しはわかってくる。JTBC公式サイトには次のように書かれている。

「人は誰もが、自分は価値のある人間だと証明することに人生のすべてを懸けているように見える。優秀さを証明できないのなら、いっそ自分を壊してでも特別にならなければならないという強迫観念。しかし、その切実な主張は常に挫折し、決して思い通りにはいかない。

 たとえば、成功している友人たちの中で自分だけが落ちこぼれしまい、嫉妬と妬みを強く持つ人間がいるとする。そんな彼の見苦しい姿に耐えられない友人たちも多い。

 このドラマは、自らの無価値さを克服しようともがく人間と、そんな彼をどうにか受け入れようとする人々の物語である」(JTBC公式サイトより引用、筆者翻訳)

 キーワードは「自分の価値を証明すること」。そのテーマがタイトルにも反映されている。

 そして、自分の無価値さを克服しようとするのがドンマンであり、彼を受け入れようとする理解者がピョン・ウナ(コ・ユンジョン)なのだ。彼女もまた、精神的に追い詰められて苦悶している。