ク・ギョファンコ・ユンジョン主演のNetflix配信『誰だって無価値な自分と闘っている』。ヒューマン群像劇ともいえる本作には個性的な登場人物が多いが、なかでも魅力的なキャラクターがコ・ヘジン(カン・マルグム)だ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『誰だって無価値な自分と闘っている』カン・マルグム扮するヘジンは夫のちっぽけな自尊心に腹が立って仕方がない

 ヘジンは大学の映画サークルの同僚たちで結成された「8人会」のメンバーで、映画会社コバクフィルムの代表である。さらに、「アジト」というレストランバーも経営している。

 ヘジンの言うことには筋が通っている。資金面で苦労することが多い映画会社の代表を務めているので、作品が当たらなくても落ち込んでいる暇がない。自分でレストランバーを開いているのも、社員の給料の足しにしたいという思惑があるからだろう。

 そこまで苦労しているので、夫で映画監督のパク・ギョンセ(オ・ジョンセ)のことが歯がゆくて仕方がない。

 ギョンセは、自身が手がけた新作映画が興行的に不入りとなったことで極端に落ち込んでいた。さらに、ファン・ドンマン(ク・ギョファン)から作品を徹底的に批判されたことで怒りをあらわにし、ドンマンを糾弾する文章を「8人会」のグループトークに載せてしまった。

 ヘジンにとって、夫の行動は非常に情けないものであった。映画が不入りだったからといって、ドンマンの人間性を否定するコメントを連発するべきではなかった。彼女は、そのようなことをする夫を恥ずかしく思っていた。

 その一方、ヘジンは、ドンマンと兄のファン・ジンマン(パク・ヘジュン)を「アジト」で出入り禁止にしている。2人がトラブルを起こしたからであり、決して彼らを卑下しているからではない。

 その証拠に、ドンマンにピョン・ウナ(コ・ユンジョン)という恋人ができたと認めた際には、出入り禁止を解除している。ヘジンは、心の優しい女性なのだ。

 ただし、夫のギョンセに対しては言いたいことが山ほどあった。彼は新作映画を失敗させてしまったが、新たにテレビの連続シリーズの監督を引き受けることになった。社員を抱える映画会社としては今後の経営のメドが立つため、ヘジンにとって非常にありがたい話だった。

 しかし、制作側から「ギョンセの他にもう1人脚本家を加え、共同で脚本を作るように」と依頼されたことに対し、ギョンセは断固として拒否して必ず自分だけで脚本を書くと主張していた。

 ヘジンの怒りが収まらない。せっかく持ち込まれた大きな仕事であり、絶対に失いたくない。それを邪魔するギョンセのちっぽけな自尊心に腹が立って仕方がないのだ。