人気俳優チュ・ジフンが、去る10月9日、釜山の新世界百貨店センタムシティ店9階文化ホールで開催された第31回「釜山国際映画祭(BIFF)」の「アクターズハウス」に登壇した。

 チュ・ジフンは、2006年に皇太子役を演じて一大旋風を巻き起こしたドラマ『宮(クン)~Love in Palace』でのブレイク以降、映画『神と共に』シリーズや『工作 黒金星と呼ばれた男』、さらにはテレビドラマ『魔王』『キングダム』『トラウマコード』にいたるまで、映画とドラマを縦横無尽に行き来しながら圧倒的な存在感を放ち続けている。

 会場を埋め尽くしたファンを前に、これまでの歩みや独自の演技哲学、そして間もなく公開される最新作の舞台裏まで、率直かつユーモアあふれるトークを繰り広げた。

■『宮~Love in Palace』でブレイクしたチュ・ジフン、ダブル1000万人を達成した『神と共に』など、映画とドラマで圧倒的な存在感

 ジーンズにポロシャツというラフな装いで現れたチュ・ジフン。韓国映画界で初となる「ダブル1000万」(2作品連続での観客動員数1000万人突破)を記録した『神と共に』シリーズや、世界中にゾンビブームを巻き起こした『キングダム』など、数々の大ヒット作で主演を務めてきた。

 しかし、自身が残してきた輝かしい足跡について司会者から問われると、「今でも実感があまりなくどこか不思議な感覚です」と謙虚な姿勢を見せた。

 今年でデビュー20周年を迎えたチュ・ジフン。自身の原点である初主演作『宮~Love in Palace』を振り返り、「当時の芝居を客観的に見返すと、まだまだ未熟だったと感じますね。ただ、あの拙かった時代を経験したからこそ俳優という仕事や作品への向き合い方が大きく変わったと思います」と振り返った。

 一方で、「長年、自分とは違うキャラクターを演じてさまざまな人生を体験してきたため、図太い性格にはなったけど、感情表現が弱くて面白みが薄い人間になってしまったかもしれませんね」と苦笑いを浮かべた。

写真提供:釜山国際映画祭(BIFF)

■トップ俳優としての矜持は「使命感ではなく誠実さ」、1人の表現者としてのリアルな視点

 イベント中盤、昨今の映画界の動向や俳優が背負うべき社会的責任に話が及ぶと、司会者から「トップ俳優として職業的な『使命感』は必要か」という鋭い質問が投げかけられた。

 チュ・ジフンは一瞬考え込んだ後、「強い使命感を持っている俳優もいるでしょうが、自分の中にそれほど大きなものがあるかは分かりません。俳優は国の政治を動かしているわけでもないし、世界平和のために戦っているわけでもない。結局のところ、1人の職業人にすぎないのではないでしょうか」と、飾らない本音を口にした。

 しかし、その言葉の裏には、チュ・ジフンのプロとしての確かな矜持が滲む。

「『使命感』というのは重い言葉ですが、だからといって仕事を適当にこなしていいわけでは絶対ない。最低限、自分が任された役柄に対する『誠実さ』だけは失ってはならないと思います。

 周囲のスタッフや共演者の方々をプロフェッショナルな同僚として深く信頼し、私も俳優として演技に全力を尽くすこと。それこそが私にとっての誠実さだと思います」と、力強く語った。

写真提供:釜山国際映画祭(BIFF)