■亡者がこの世に帰るお盆は心霊体験が続発!?
台風7号の影響により中止を危ぶまれていた京都の「五山送り火」が、嵐を乗り越え無事に行われた。五山送り火は言わずもがな、お盆に迎えた先祖の霊を送り出す京都の恒例行事だ。
もともと「正月と盆の十六日は地獄の釜の蓋があく」との言い伝えがあり、16日はあの世の霊が現世に戻ってくる日とされていた。正月と盆の16日は閻魔大王にお参りせねばならず、その日ばかりは地獄の鬼たちによる罪人への責め苦もお休み。だから地獄の釜があいて、死者たちがこの世に姿を現すといわれていたのだ。
お盆期間中、もう一度会いたいと願った人の霊魂と再会することもあれば、見知らぬ霊とうっかり遭遇した人もいるかもしれない。
そして、思いがけず”帰省中”の幽霊に取り憑かれてしまったのは、京都府出身の俳優・滝晃太朗(たき・こうたろう)さんだ(注1)。20代の頃、地元である京都のアルバイト先で、小学生の霊になつかれてしまったという、恐怖体験の一部始終を滝さんが語ってくれた──。
注1/滝さんの詳しい出演情報などはこちらからX(旧Twitter):@kohtarotaki
■ドンブラ出演俳優が語る心霊体験
ひねりの利いた展開で話題を呼んだ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』など、特撮番組を中心に活躍している滝さんだが、若かりし頃はバンドでの成功を夢見ていた。バンド活動の傍らで働いていたのが、京都の四条寺町にかつて存在していた居酒屋だ。
「“監獄”をコンセプトにした、少し変わったお店でした。店の内装が監獄風になっていて、お客様は収監された囚人という設定です。営業中にモンスターたちが襲ってくるショータイムもありましたね」(以下、滝さん)
その店には筆者も何度か訪れたことがある。監獄とお化け屋敷を掛け合わせたような雰囲気で、個室は牢屋のような造りになっていた。メニューもお化けや目玉、内臓をモチーフにしたものが多く、ホラー好きの若者に人気の店だった。
客として楽しむぶんには何の問題もなかったが、働いている側はそうでもなかったらしい。なんと、店内のあちこちに幽霊が“常駐”していたのだとか。
■店内のあちこちに霊が漂っている?
「お化け屋敷のような雰囲気につられて、霊が寄ってきていたみたいです。席やフロアごとに違う幽霊がいると言われていました。大宴会場にはサラリーマンの幽霊。4~5人用の個室には、頭から血を流したギャル男の幽霊と……。
僕自身に霊感はないんですが、スタッフに“視える”寺の娘(以下、A子)がいて、いろいろ教えてくれていたんですよ」(前同)
A子は少し年上の落ち着いた女性。大学生のアルバイトが多いなか、年齢が近くてフリーター同士だったこともあり、ふたりは仲良くしていたそうだ。学生スタッフたちは彼女の話を「また言っているよ~(笑)」とからかっていたが、滝さんは説得力を感じていたという。
実際、彼女はのちに、ネット怪談でおなじみの「寺生まれのTさん」に匹敵する強力な助っ人となる。
■誰もいない宴会場に向かう廊下の先に……
「お盆真っただ中のことです。私は18時から、A子は遅番で20時から出勤して、いつも通り仕事をしていました。その日はお客様が全然こなくて、とても暇な日でしたね。
22時を過ぎた頃、掃除のために一度ホールを離れました。客入りが少ない日は、早めに清掃することになっていたんですよ。モップを持って、まずは無人の大宴会場へ向かったんですが……」(同)
フロアの最奥、大宴会場へと続く廊下の前に立ったとき、異様な気配と猛烈な気持ち悪さが襲ってきたそうだ。
「ぞわっとする気持ち悪さに加えて、空気が違うというか、息苦しいというか。ホラー漫画でよく、空気中に黒いモヤがかかっている描写があるじゃないですか。あんな感じの重さがありました。そんな体験は初めてでその場からすぐに逃げましたよ」
そのまま大宴会場を避けて別の場所を掃除し、深夜1時過ぎに退勤したという。しかし、店を出た直後から、滝さんの身体に異変が現れる。
■誰かが肩に乗っている!?
「左肩がめちゃくちゃ重くなって、経験したことのない痛みを感じました。まるで漬物石で押しつぶされているような……。直感で『誰かが乗っている』と分かったんです。自転車通勤していましたが、あまりの痛みに漕げないくらいでした」
生まれて初めての不可解な出来事に気持ち悪さを感じ、もしかして霊的なモノでは……と、まだ店に残っていたA子に電話をかけた。
開口一番、彼女が放ったのは、「あー、憑いてきているね」の一言だった──。
【後編予告】
A子が電話口で伝えた「憑いてきている」モノとは何者だったのか? 滝さんの身に起こった怪異は祓うことができたのか? その意外な正体と、怪異の顛末は後編で!(8月28日公開予定)