■神仏習合の形をいまに残す神社
冒頭から私事で恐縮だが、最近、ひざに痛みを感じつつある。まだ、階段の上り下りなどは大丈夫なのだが、正座が困難な状態だ。筆者の年齢は今年で63歳。寄る年波には勝てない、と言ったところだろう。
同世代の中には、同じような悩みを抱えている方も少なくないと思う。そんな、足やひざの痛みなどにご利益がある神社を、今回と次回の2回に分けて紹介しよう。
1回目は和歌山市にある足守(あしがみ)神社。そのものズバリといった社名に期待が持てる。
アクセスはJR和歌山駅で和歌山電鐡貴志川線に乗り換え、山東駅で下車し徒歩約15分。築浅の戸建て住宅や古民家が混じって建つ路地をのぼり、ミカン畑がひろがる山腹に鎮座する。
しかし、入り口右側に「足守神社」と刻まれた石柱はあるものの、左側に観音菩薩像が建立され境内にはお堂まである。ただ境内に入って右、階段をのぼった高台には神社の絵馬堂がある。
つまり、足守神社は明治時代に「神仏分離令」が出されるまで当たり前だった神仏習合の姿をいまも残す、激レアな神社でもあるのだ。ちなみに、お寺としての名前は足守観音寺という。
■足に関する願いはなんでもOK
寺院本堂の前にデンと構えているのが賓頭盧(びんずる)さんだ。東大寺や善光寺など各地でみられ、自分が患っているところと同じ場所をなでると病気が治るという。
最近は物忘れが頻繁だし、中学校の頃から近眼だし、多少血圧も高く、胃腸の調子も良くない。もちろんひざは痛い。
ならば、賓頭盧さんの頭の先から足の先までなでてみようかとも思ったが、還暦過ぎのオヤジに身体中を触られるのも迷惑だろう、ということでひざだけにしておいた。
賓頭盧さんのとなりには絵馬とお守りの授与所があり、絵馬は草履(ぞうり)をモチーフにしたもの。階段をのぼって絵馬堂に入ると、願いごとを書いた絵馬がぶら下げられており、絵馬だけでなく額に入った金属製の草履も奉納されている。
絵馬は本殿の前にも掲げられ、「足の病気や痛みが治まりますように」といった願いから「サッカーでレギュラーになれますように」「駅伝でいい走りができますように」「足のケガなくバレエのステージが成功しますように」など、とにかく「足」に関する願いごとが数多くなされている。ということは、セパタクローにもご利益が期待できそうだ。