■人生の崖っぷちで縁結びを願い…

独立したもの崖っぷちに追い詰められた女性は……(写真はイメージ)
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その女性は、勤めていた会社から独立したものの、タイミングが悪かったのか業績は低迷する一方。付き合いのあった人たちも次々と離れていってしまいました。
まるで、それまでの縁という縁がぷっつり切れてしまったように感じた彼女。縁結びの神様であるオオクニヌシを祀る神社へ、「よいご縁がつながってほしい」と、すがるような気持ちで向かったそうです。
すると、まず神社の境内に入ったときに「大きく包み込まれる感覚があった」と彼女は言いました。同時に、自分自身がくたびれきって、癒されてないことに気づいたそうです。
しばらく境内にいてその空気を感じていると、自分の中にある焦りやマイナスな感情の塊に自分自身がふりまわされていると感じて、ただただ、ぼーっと過ごしました。そうして心が落ち着いたあと、お参りしてひたすら祈願したそうです。
参拝の帰りに、ふと昔の知り合いを思い出して連絡をとると、
「ちょうどあなたに会わせたい人がいるんだよ!」
と言われ、後日、その「会わせたい人」を紹介してもらうと、そこからあれよあれよと話が進んで、なんとかピンチを乗り越えられたそうです。
■おおらかな空気に癒される

自分の中の焦りやマイナスの感情にとらわれているあいだは、人に会ったり連絡したりすることにも、うまくいかないのではないか、けんもほろろにあしらわれるのではないか、などとネガティブに考えがちです。
オオクニヌシを祀る神社のおおらかな空気に癒やされて、自分のことだけでなく、久しぶりに話したいな、どうしているかな、といったフラットな気持ちで接することができたのではないかと思います。
そうしたときに、すっとご縁をつないでくださるのがオオクニヌシです。その女性は、それ以降、毎年の御礼参りをかかさずしているとのことです。
「そのときいただいたご縁は、その瞬間だけでなく、のちのちまで広がっていくきっかけになったんです」
と、彼女はすっかり明るくなった顔で話してくれました。
■願いの先も見通すオオクニヌシ
彼女のエピソードを聞いたとき、私は改めて、
「ああ、オオクニヌシ様は魔法のように後先考えずに願いを叶えるだけじゃないんだな」
と思いました。え、どういうことかって?
彼女の不思議な体験にもあるように、お願いする本人がどう考えて、人としてどう成長していくか? そして、その願いが叶うまでの過程や叶った後、どういうことがのちのち本人のためになるのか? なども考えながら願いを叶えてくれる──それこそがオオクニヌシの本当のご利益なんじゃないかと思うんです。
そして一番肝心なところですが、心が疲れているときに温かく迎えてくれるのです。それは、大きな懐の中で、まずは何も言わずに受け入れてくれるようなおおらかさと温かさがある感じです。
温かいカイロを身体にあてたときに、じわ~っと何とも言えない温かさで身体が包まれる、あの安心感と、どしんとした安定感です。
だから、もうダメかも~~と精魂尽き果てたときには、オオクニヌシ様の大きくどっしりした温かさで包んでもらい、まずは、自分自身を癒してもらいましょう。
次回は、恋愛関係の縁結びの神様と思われがちなオオクニヌシの、「それだけじゃない縁結び」のワケについてお話していきます。