■ソン・ジュンギ演じる主人公は、復讐劇のファンタジーキャラ

「“やられたらやり返す”の魅惑キャラといえば、『梨泰院クラス』の主人公パク・セロイが思い浮かびますが、『ヴィンチェンツォ』の主人公、その名もヴィンチェンツォ・カサノは、ぐっと洗練された“やり返し”キャラです。 そもそも、マフィアの顧問弁護士出身という点が興味深い。設定だけ聞くと、悪を悪のやり方で制する、というノワール的な残忍なイメージを抱きますが、本作のヴィンチェンツォは軽妙洒脱でクレバーなやり方で制していく。そこが小気味よくて、パク・セロイとはまた違った魅力です。

 パク・セロイに比べると、ヴィンチェンツォは人格にやや難ありかと思われました。しかし、仲間に支持されていくなかで、従来の正義感や人間的魅力が出ていきます。イタリア製のスーツを着こなし、エスプレッソを好み、リゾットの味にうるさいというキャラクターの個性が、徐々に韓国的なものに感化されていく様子が序盤の面白さの一つです」

ソン・ジュンギ 写真出典:Netflixオリジナルシリーズ「ヴィンチェンツォ」独占配信中

 ソン・ジュンギ(35)はインタビューで、「誰かがどこからともなく現れて、悪に制裁を加え、事態を収めてくれたら、と思うときがあるはず。ヴィンチェンツォはそれができる。そういう意味では、ファンタジーともいえる」(『韓国TVドラマガイド』94号記事より抜粋)と語っている。

「ファンタジー、まさにそう感じています。ソン・ジュンギは、大ヒット作『太陽の末裔 Love Under The Sun』では“戦場ロマンスのファンタジー”のような主人公、ユ大尉を体現していました。今作では、“痛快復讐劇のファンタジー”キャラを生み出したといえるかもしれません。元来の復讐キャラは、泥臭いイメージがありましたが、ヴィンチェンツォは洒脱で、しかも少年のような顔立ちをしているところもギャップがあって、いいなと思いました」(同編集部・高橋氏)

ソン・ジュンギ(左)、チョン・ヨビン(右) 写真出典:Netflixオリジナルシリーズ「ヴィンチェンツォ」独占配信中