■『赤い袖先(原題)』のアナザーストーリー、正祖が愛した3人の女性の運命

 それにしても、正祖というのは、韓国の時代劇で主役として取り上げるのにふさわしい名君だ。政治的な業績が素晴らしいのはもちろんだが、彼の波乱万丈の生き方もドラマになりやすい要素をたくさん持っている。そこで、今回は『赤い袖先(原題)』のアナザーストーリーとして正祖が愛した3人の女性にスポットを当ててみよう。

1人目は正祖の正室だった孝懿(ヒョウィ)王后だ。

 彼女は42人いた王妃の中で、性格が一番良かったと言われている。とにかく優しかった。しかも、長幼の序をよく守った。正祖の母の恵慶宮(ヘギョングン)は性格が難しい女性だったが、孝懿王后は姑によく仕え、王宮の中で秩序を立派に全うしている。

 とはいえ、子供に恵まれなかった。孝懿王后は正祖が1800年に亡くなったあとも宮女たちに敬われ、1821年に世を去った。

 2人目は正祖の側室になった宜嬪・成氏だ。『赤い袖先(原題)』でイ・セヨンが扮した女性で、彼女は正祖に最も寵愛されていた。実際に文孝(ムニョ)世子を産んでいて、彼女は世継ぎを立派に育てようと努力したが、運命は母子に冷たかった。文孝世子は幼いときに早世し、宜嬪・成氏も若くして亡くなってしまった。

 寿命が尽きたとき、宜嬪・成氏は妊娠していたと伝えられている。正祖がどれほど慟哭(どうこく)したことか。彼は宜嬪・成氏が短命の運命を背負っていたことを嘆いた。

 結局、正祖の後継ぎとなる王子を産んだのは、側室の綏嬪(スビン)・朴氏(パクシ)であった。彼女が1790年に産んだ王子が後の23代王・純祖(スンジョ)になったのだ。

 こうして、正祖の愛を受けて大妃(王の母)の座についたのは、孝懿王后でも宜嬪・成氏でもなくて、正祖の最後の側室だった綏嬪・朴氏であった。

画像:『赤い袖先(原題)』©2021MBC

*『赤い袖先(原題)』KNTVにて日本初放送!

放送:KNTV【第1・2話先行放送】3月11日(金)後8:00~10:30 ※4月本放送スタート(全17話)

脚本:チョン・ヘリ(『仮面の王 イ・ソン』)/演出:チョン・ジイン(『自己発光オフィス』『バラ色の恋人たち』)ソン・ヨンファ(『私がいちばん綺麗だった時』)

出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ、パク・チヨン、チャン・ヒジン、チョ・ヒボン、ソ・ヒョリムほか