「韓国の人も目玉焼きが好きなんですね」

 ネット配信で韓国ドラマや韓国映画が日常化したため、韓国人の食生活や韓国料理に興味をもつ人が増えたようだ。韓国の人「も」ということは、日本の人も目玉焼きが大好きなのだろう。私は15年前に台湾一周旅行をしたことがあるのだが、そのときも庶民的な食堂で目玉焼きがよく出てきたので親しみを感じた。

北村の行きつけのバーでママが作ってくれたキムチチャーハン目玉焼きのせ

チョン・ウソンとキム・ガプスの目玉焼き戦争

 目玉焼きが出てくる作品で印象的だったのは、2003年の映画『トンケの蒼い空』だ。慶尚南道密陽の田舎刑事(キム・ガプス)とその息子(チョン・ウソン)の二人暮らし。食卓の中央にはいつも目玉焼きがあり、父と息子がそれを奪い合うように食べるシーンが微笑ましく、そして、とても美味しそうだった。

 2000年代前半の田舎町、それも母親のいない男所帯なら主菜が目玉焼きであってもそう不思議ではない。70年代~80年代前半頃まで、生徒が学校に持ってくるお弁当の中身がごはんとキムチと目玉焼きだったら、それは豊かなほうだったのだから。

チョン・ウソン主演映画『トンケの蒼い空』に出てきたのはこんな感じの目玉焼きだった
70年代の弁当を釜山の食堂が再現したもの。キムチと目玉焼きに加え、魚肉ソーセージとじゃこまで入っているのでかなり豪華だ