■ビジュアル担当としての目玉焼き
目玉焼きは料理の彩りや栄養のバランスをとるためにも活躍する。日本の人でもすぐ思い出すのはビビンパの上にのったものだろう。この場合は両面焼きではなく、見目麗しい片面焼きが望ましい。
バーのママが「お腹空いてる? だったら何か作ってあげる」とかなんとか言って、サッと作ってくれたキムチチャーハン。その上に目玉焼きがのっているとうれしくなる。この場合も片面焼きがいい。
私の家の近くにチャジャンミョンがメインの技士食堂(タクシー運転手さんがよく利用する大衆食堂)がある。そこの人気メニュー、チャジャンパプ(麺とごはんのハーフ&ハーフにチャジャンソースがかかっている)の上にも目玉焼きがのっている。この店の場合は店の混み具合によって両面焼きだったり片面焼きだったりする。
日本は我が国と比べると盛り付けや見た目の美しさを重視するようだ。ほとんど両面焼きを見た記憶がない。3年前、宮城県の石巻市を取材したとき、製麺会社の社長さんが自ら石巻焼きそばを作ってくれた。上にはつややかな片面焼きがのっていて、その美しさには惚れ惚れするほどだった。これが50代男性の料理である。韓国人が片面焼きをきれいに焼けないわけではないのだが、日本の人の繊細さを感じた瞬間だった。