■ソメクのある風景

 爆弾酒がソメクという軽い言葉に変わったように、ソジュ自体のアルコール度数も低下が進んでいる。1990年代前半は25度。後半は23度。2005年頃は20度。そして現在は16度。これではビールを混ぜても爆弾酒という言葉は似合わない。90年代くらいまで爆弾酒といえば40度もあるウイスキーとビールを混ぜたものを指していた。爆弾酒は遠くなりにけり、である。

各地の歴代ソジュ瓶。低アルコール化が確実に進んでいる(大韓民国酒テーマ博物館/全羅北道)

 私がソメクという言葉で思い出すのは、もう少し牧歌的な風景だ。日曜日。地方都市の郊外。シニアたちが昼過ぎから三々五々、大衆酒場にやってきて、グラスにソジュとビールを好みの配分で注ぐ。おしゃべりしながら、それをゆっくり飲む。今なら話題は大統領選挙だろう。酒量は一人当たりソジュ1本、ビール2本くらいだろうか。そして、陽の高いうちにゆらゆらと帰ってゆく。

統営(慶尚南道)で入った大衆酒場では、基本の酒セットがソメク対応だった
シニアたちがソメクを楽しむ大衆酒場の風景(忠清南道・江景)

 会社員が接待で肌も露わなホステスと盛り上がったり、学生たちが明日のことも考えずに一気飲みしたりするのとはまったく違う、趣のある酒席である。

来るときは自転車に乗って、ソメクを飲んだら自転車を押して帰る酔客たち(忠清南道・江景)