■『ディナーの後に』(1998年)
『ユゴ 大統領有故』や『ハウスメイド』などの話題作を撮ったイム・サンス監督の初期作品。デザイン会社を経営するホジョン(カン・スヨン)、ホテルラウンジのウエイトレス・ヨニ(チン・ヒギョン)、大学院生スニ(キム・ヨジン)の3人の性生活を生々しく描いた映画だ。
ヨニはホジョンの住む高級アパートに居候していたが、ホジョンの外国行きを契機に部屋探しをする。そのとき不動産屋に案内されて狭い階段を登ったところにあったのがオクタッパンだった。部屋にはまだ住人がいた。ホットパンツ姿でベッドにうつぶせになってくつろいでいたのは、どこか夜の匂いのする女性。部屋にはタニヤ・タッカーのライブ「You Are So Beautiful」が大きな音量で流れている。ヨニは部屋の外で気持ちよさそうに風を浴びる。結局、ヨニはオクタッパンを選ばなかったのだが、不思議と印象に残るシーンだった。
24年も前の作品だが、本作にはのちに華々しい活躍をする俳優が何人も出ているので、彼らのフレッシュな演技が見られる点も魅力だ。
ヨニをナンパした軽薄な漫画家を演じたのは映画出演3回目の初々しいソル・ギョング。ワンナイトを過ごした翌朝は半裸まで披露していた。また、ヨニ役のチン・ヒギョンはこの13年後に『サニー 永遠の仲間たち』でグループのリーダー役を好演。そして、スニ役のキム・ヨジンはこの翌年に『ペパーミント・キャンディー』で主人公(ソル・ギョング)の妻を熱演。その4年後には『宮廷女官チャングムの誓い』でチャングムの先輩医女を演じた。最近ではソウルの世運清渓商街を舞台にしたドラマ『ヴィンチェンツォ』で決定的な悪役を演じて話題となった。
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