韓国エンターテインメント最大のアワード、第58回「百想芸術大賞」が、来たる5月6日に開催される。開催に先立って、ノミネートされた作品や俳優が発表になっている。

 昨年の第57回では、TV部門の大賞をバラエティー番組で活躍するユ・ジェソクが受賞。ドラマ作品では、サスペンス『怪物』が作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞(シン・ハギュン)の三冠を達成。女性最優秀演技賞は『ペントハウス』のキム・ソヨン、女性助演賞は『悪霊狩猟団:カウンターズ』のヨム・ヘラン。男性助演賞は『サイコだけど大丈夫』のオ・ジョンセで、『椿の花咲く頃に』続く2回連続の受賞となった。

 今年度のTV部門のドラマ作品にも、日本でも人気を集めたドラマや出演俳優たちが多く選出されている。ここでは、編集部が注目する作品賞、演技賞などについて紹介するとともに、気になる賞の行方を占ってみよう。

■今年の百想芸術大賞、ドラマ部門作品賞を予想!

 第58回「百想芸術大賞(2022年)」TV部門ドラマ作品、芸能作品(バラエティー)の作品賞、演出賞、脚本集のノミネートは以下の通り。

【作品賞】

D.P.-脱走兵追跡官-』/『二十五、二十一』/『イカゲーム』/『赤い袖先(原題)』/『こうなった以上、青瓦台に行く

【演出賞】
ユン・ソンホ『こうなった以上、青瓦台に行く』/イ・ナジョン『Mine』/チョン・ジイン『赤い袖先』/ハン・ジュンヒ『D.P.-脱走兵追跡官-』/ファン・ドンヒョク『イカゲーム』

【脚本賞】
キム・ミンソク『未成年裁判』/キム・ホンギ、パク・ヌリ『こうなった以上、青瓦台に行く』/ペク・ミギョン『Mine』/イ・ナウン『その年、私たちは』/ファン・ドンヒョク『イカゲーム』

【芸術賞】※技術部門賞
クォン・テウン『覆面歌王』『シングアゲイン』(音楽)/キム・ファヨン『赤い袖先(原題)』(撮影)/オム・ヨンシク、キム・ダヒ『ユミの細胞たち』(アニメーション)/チョン・ジェイル『イカゲーム』(音楽)/チェ・ギョンソン『イカゲーム』(美術)

 作品賞のノミネートで興味深いのは、Netflixオリジナル作品の『D.P.』『イカゲーム』、韓国の動画配信サービス、Wavve(ウェーブ)オリジナルの『こうなった以上、青瓦台に行く』と、動画配信コンテンツが5作中3作も締めていることだ。

 なかでも、『こうなった以上、青瓦台に行く』は、作品賞・演出賞・脚本賞という主要3部門すべてにノミネートされているほど。コロナ禍の韓国政府の内情をブラックユーモアたっぷりに描いた痛快社会派コメディで、専門家も絶賛している作品だ。現地記者に聞いても、絶対見るべき作品と勧められている(日本での配信は未定)。

 また、tvNで放送され、結末を考察する熱狂的視聴者を多く生み出したキム・テリ×ナム・ジュヒョク主演の『二十五、二十一』。日本でもNetflixで配信され、ドラマロスから抜け出せないファンも多い。

 韓国の歴史的名君イ・サンの若き日の恋を描き、地上波(MBC)を賑わせた『赤い袖先(原題)』のノミネートも納得。地上波からケーブル局の時代に変わり、動画配信の時代の到来を象徴するようなラインナップ、結果が気になるところだ。

 演出賞では、『Mine』のイ・ナジョン(そのほかの作品に『サム・マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』『恋するアプリ Love Alarm』)、『赤い袖先(原題)』チョン・ジイン(『自己発光オフィス~拝啓 運命の女神さま!~』共同演出)と、女性演出家が2名。また、『こうなったら〜』のユン・ソンホ(インディペンデント映画出身)、『D.P.』のハン・ジュンヒ(『コインロッカーの女』など)、『イカゲーム』のファン・ドンヒョク(『トガニ 幼き瞳の告発』など)と、映画畑出身の演出家が3名ノミネートされている点も、韓国ドラマの質の高さを表しているといえよう。