■歴史と美食の都、全州の魅力とは?

 全羅北道の北部にある全州(チョンジュ)は朝鮮王朝の発祥地で、同時代の遺跡が残る慶基殿を中心とした伝統家屋街「全州韓屋マウル」が観光の拠点。この十数年でもっとも観光客誘致に成功した地方都市としてコロナ前は平日でも大変賑わった。

 また、全羅北道と全羅南道は内陸部の土地が肥沃で、西側が黄海に面していているため農水産物が豊かで、古くから食文化が発達してきた地域だ。

全州はビビンパの故郷
全州の三川洞や西新洞にはマッコリ専門店が集まっている。やかんに入ったマッコリとテーブルいっぱいのつまみがセットになって35000ウォン程度

 そのなかでも国内外の観光客誘致に成功した全州は、美味しいものを効率よく食べ歩きできる街として人気がある。ビビンパ、韓定食、コンナムルクッパ(豆モヤシのスープ)などが有名だが、ビールやマッコリを独特のスタイルで提供する店も人気がある。

 
日本のテレビドラマ『孤独のグルメ』に登場した食堂「トバン」も全州にある

 ソウルから全州へは、高速鉄道(KTXなど)なら片道2時間弱で、高速バスなら2時間半くらいで行ける。

 半島南西部の全羅道は政治的なしがらみで、半島南東部と比べると著しく都市開発が遅れた。そのため、積年を感じさせる家屋が多く残っている。1990年代後半を舞台としたドラマ『二十五、二十一』に撮影地に選ばれたのはそれが理由だろう。

イジン(ナム・ジュヒョク)のバイト先のマナバン(貸し漫画屋)。昔ながらの住宅や雑居ビルをおしゃれなカフェやレストランに改装した店が集まる西鶴洞芸術マウルにある。住所:全州市完山区西鶴3ギル63

*取材協力:全州市観光拠点都市推進団、全羅北道国際協力課国際交流係

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