■名産の黒豚を焼いてマッコリで乾杯

 海産物もよいが、暑いときにスタミナをつけるために食べてほしいのが豚の焼肉だ。済州出身の在日コリアン一家の暮らしを描いた映画『血と骨』(崔洋一監督)で、主人公(ビートたけし)が豚一頭をさばいていたように、済州では昔から豚肉がよく食べられてきた。

済州の黒豚。皮の部分をよく見ると黒い毛が見えるが、焼くと見えなくなってしまう
焼きあがった済州の黒豚。脂身をしっかり味わってもらいたい

 なかでも漢拏山のふもとで飼育された黒豚は高級品で、値段も韓国産牛に負けないほどだ。黒豚は脂が旨い。ダイエットのことはしばし忘れて赤身部分の甘味と旨味たっぷりの脂におぼれよう。

 そして、少し油っこくなった口中に流し込みたいのが済州の生マッコリだ。最近は地方の食べ物や飲み物が釜山やソウルどころか海を越えた日本でも味わえるが、やはり産地の空気を吸いながら、できれば産地の人々とともに味わうことに本当の幸せがあると思う。

注文した太刀魚の塩焼きの前に出てきたつきだしと済州の生マッコリ(左上)

 ピンクのラベルの済州の生マッコリは、ソウルの長壽(チャンス)や釜山の生濁(センタク)と比べるとドライですっきりしていてガブカブ飲める。私は美味しいキムチがあれば、一人飲みでも最低2本は空けてしまう。黒豚と済州マッコリの贅沢なコラボレーションをぜひ体験してもらいたい。

(つづく)

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