■豚肉(テジコギ)料理の茹で豚肉(テジスユク)、豚肉麺(コギククス)

 高級な黒豚だけでなく、済州は豚肉全般が美味しいことで知られている。

 ホン・サンス監督の映画『よく知りもしないくせに』(2009年)では、ソウルから講師として映画監督(キム・テウ)を迎えた先輩(ユ・ジュンサン)が、夕食に「テジスユク(茹で豚肉)はどう?」と提案するシーンがあった。

 豚肉の旨味をそのまま味わいたいなら、このテジスユクがおすすめだ。塩、または塩を加えたゴマ油を少しだけつけて食べても美味しいが、アミの塩辛をつけて食べるのも韓国独特のスタイルなので、ぜひ試してほしい。

 もうひとつ、まだ歴史は浅いが、あたたかい豚骨スープをかけた麺に茹で豚肉をのせて食べるコギククスも有名だ。日本の豚骨ラーメンよりあっさりしているので、豚骨スープの匂いが苦手と言う人でも美味しく食べられる可能性が高い。

済州で食べたテジスユク。手前の骨(白い部分)の周りをこそぐように食べるのも楽しい
テジスユクには済州のソジュ「漢拏山(ハルラサン)」が合う。ソウルのチャミスル釜山のチョーウンデイと比べるとドライな口当たり。このソジュはドラマにもたびたび登場した。名前の漢拏山は『私たちのブルース』20話(最終回)でドンソク(イ・ビョンホン)がオモニ(キム・ヘジャ)のために登った山
済州市にある「チャンスムル食堂」のコギククス。イワシのダシを加えた豚骨スープが香ばしい

(つづく)

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