Netflix韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で、テサン社のオーナー、テ・スミを演じた俳優チン・ギョン(1972年生まれ)はドラマではもちろん、この十数年、映画でも活躍している。
特筆すべきは、ファン・ジョンミン、イ・ギョンヨン、イ・ソンミン、ペ・ソンウらの妻役。いずれも、家庭をかえりみないタイプだったり、優柔不断だったりする夫をときには叱責し、ときには陰で支える芯の強い妻を演じている。
今回は、そんな“気丈な妻”を演じさせたらピカイチの女優、チン・ギョンの魅力を探ってみよう。
■『ベテラン』ではファン・ジョンミンの気丈な妻役
気丈な妻役のなかでも抜きん出ているのが『ベテラン』(2014年)だ。夫は正義感が強いあまり金には縁のない刑事ドンチョル(ファン・ジョンミン)。彼の捜査対象(ユ・ヘジン)は、妻(チン・ギョン)を大金の入ったシャネルのバッグで取り込もうとするが、彼女は強い口調でそれを拒絶し、バッグを突き返した。
しかし、チン・ギョンの迫真の演技はこのあとだ。
妻「ヤー(おい)、ソン・ドンチョル!」
怒り心頭で夫の職場に乗り込むと、私に恥をかかせたわねと夫を小突き回した揚句、
妻「何がいちばん恥ずかしかったと思う? ブランドバッグと札束を見たとき、心が揺らいだの。私だって人だし、女なのよ。わかる?」
夫「……」
チン・ギョンの演技史に残る名場面である。