チョン・ウソンチョン・ドヨンに迫る存在感を示した『藁にもすがる獣たち

『藁にもすがる獣たち』(2020年)でチン・ギョンが演じたのは、まじめだが、要領のよくない夫(ペ・ソンウ)とともに生活苦と向き合う妻。常にためいきをついている印象だ。

 意地の悪い義母(ユン・ヨジョン)の粗相の後始末をしたり、娘の学費捻出のために公共施設のトイレ掃除をしたりする姿は、その美貌とはあまりに不釣り合いだが、物語の核となるブツが最後には彼女に回ってくる。この含みのあるラストシーンでは、出番の多いチョン・ウソンやチョン・ドヨンに迫る存在感を示している。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の大ヒットで、ますます活躍の場が広がりそうなチン・ギョン。映画での主役獲得も現実味を増してきている。

 同じ気丈な妻を好演するライバルと目されるのは、『モガディシュ 脱出までの14日間』(2021年)でキム・ユンソクの妻を演じたキム・ソジン(1979年生まれ)や、『詩人の恋』(2017年)でヤン・イクチュンの妻を演じたチョン・ヘジン(1976年生まれ)あたりだろうか。

 今後の「“気丈な妻”韓国一決定戦」から目が離せそうにない。